第22話:Game(+Key).20





 んでもって、今朝は余裕で、薔の作った朝食をナナがいただいたりしながら、いつも通り(?)別々に着替えて学校へ向かう際、


「あの………………、」
「あ?」


 ナナは、定番を提案した。




「ば、絆創膏、貼ってもいいですか?」






「あぁ、悪くねぇな。待ってろ。」
 薔はリビングを出ていった。

 隣を見ると、花子はずっと尻尾を振りながら、ご主人さまの出ていったドアを食い入るように見つめている。

 (おぉお!花子ちゃんは、偉いね!わたしも見習うよ!)
 んでもって、ナナもずっとドアを見つめていた。



 ガチャ――――…



 薔が戻ると、花子は真っ先に駆け寄る。
 (あわぁ!なんだか、先をこされた感がしちゃう自分が、ちょっとなんだかヤダよ!)
 こんな感じの、ナナのこころの声。


 そんな彼女のまえで、薔は花子をよしよししていたが、

「おまえ、こっち来い。」

 いきなりナナに命じた。


「ぇえ?」
 びっくりしたナナが、恐る恐る近づくと、


 シュッ―――――…


 薔はナナのシャツを片方めくって、


 (ぎゃあ――――――――っ!!)
 真っ赤で内面絶叫の彼女に、


 ピタ


 自身がつけたキスマークのうえ、絆創膏を貼り付けた。




「俺がつけたからな。おまえに隠させたら、立場ねぇだろ?」




 唖然(by.もちろんナナ)。


 はい、そんなこんなんで、またしてもふたりして、手をつないで登校していきましたとさ。











 学校の、門にて。

 またしても、待ち伏せギャラリーはあった。
 なんだか美術部の生徒だか知らないが、コソコソと写生している子すらおり。

 そこを、片方だけ立派に通り過ぎていたが、


「あのぅ………、」
「なんだ?」


 ナナは、勇気を振り絞って、尋ねた。



「ちょっと、寄りたいとこがあるんですが、いいですか?」





「あぁ、別にいーぞ?」
「あ、ありがとうございます!」

 そして手を離す瞬間、


「ナナ、」

 薔は微笑んで、告げた。




「万が一さらわれても、必ず助けてやる。安心して行ってこい。」




 と。




「は、はい…………!」
 真っ赤になって、手は離したが、




 こころはぐんと近づいた。






 ナナは走って、ベンジャミンのいるクラスへと向かったのだった。

[ 233/550 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る