第22話:Game(+Key).20








 ソファで花子を抱きしめたまま、眠りにおちたはずだった。

 しかし朝になると、ナナはベッドに寝かされていた。




 そしてやっぱり、眠る薔に抱きつかれていた。
 今度は、うしろから。





 (おぉお――――――――っ!?)

 またしても、動けない朝をむかえたナナは、大赤面してこころでふるえ叫んだ。
 (ぇぇえ!?ちょっと、いい匂いにもほどがあるよ!かわいすぎるよ!)
 母性愛は、悶えまくっております。

 (いや、しかし、なぜにわたしはベッドに寝ているのだ!?)
 疑問をうかべてはみたが、それどころではない。


 (どうしよう!?昨日のこともあるし、起こしたほうがいいのかな!?)
 真っ赤で葛藤していると、


「ん………………」


 なんだか色っぽい声を鼻から出して、


 チュ―――…


 なんと、薔は、うしろからナナの首すじにキスをしてきたのである。




 (ひゃあぁっ…………!)
 ナナはさらに真っ赤でふるえて、こころで声をあげる。

 しかし薔は、やわらかなくちびるを離しはしない。


 (ぎゃああ………!起きてらっしゃるの!?寝惚けてらっしゃるの!?)
 もはや、葛藤どころの話ではない。


 しばらくうしろから、心地よいキスをされていたが、


「おい、」


 しっかり目を覚ました薔に、ナナはこう言われた。



「朝から何やってんだ?おまえは、」








 それはこっちのセリフですって――――――――っ!!




 内面で叫んではみたが、

「まぁ、いい。とりあえずまだ30分はある、抱かせろ。」
 つよく抱きしめられた。



「い……いや、あの、おはようございます…………」
「あぁ、」



 今日は、“おはよう”は言ってくださらないのか。

 ナナはちょっとしょんぼりしたが、


「おはよう。」


 と囁いた薔は、


 ちゅ


 またまた、首すじにキスをしてきた。



「んあぁあっ…………!」
 今度は声を出せたので、ナナが悶えると、

「そんなに感じてんなら、30分でヤりまくるか?」

 耳もとで、妖しく囁かれた。



「ぇぇえ!?いや、昨日、なんかいっぱいエッチなコトしたので、いまはいいです!」
「遠慮すんなよ。」
 ………………でぇえ!?


「遠慮じゃないです!わたしもう、心臓とか母性とか限界です!」
「なら、越えてみせるか?」

 ………ぇぇぇぇぇぇぇえ!?




「あー、だが、今はこれがいいな。残念だったな。」


 安心です!
 残念じゃないです!

 ……………………たぶん。

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