※第21話:Game(in Ruins).19





 目を見開くベンジャミンを見下ろした薔は、携帯越しにニヤリとした。




「クソちっせぇオトコだな。」




 むこうを向いてるため、ナナは意味がわからずにいた。




「くだらねぇ画像だが保存しといてやるよ。」
「ぇぇぇぇえ!?」
 あわてるベンジャミン。

 青ざめるばかりの小さいオトコに、薔は言い放った。




「晒されたくねーなら、二度と俺のナナに、近寄んなよ?」




 と。




 このセリフに、むこうを向いたナナはキュンとした。




「す、すみません………わかりました…………………」
 今度は本当に、謝罪をするベンジャミン。

 謝れば済むとしか思っていないちっちゃいオトコを見下ろし、
「だいたい、キサマのその体はなんだ?」
「……はい?」
 ナナがさっき言った内容を、薔はものすごくきつくした。


「溺死体みてーだな。」

「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?」


 そっぽを向いてるナナは、またしてもどや顔をした。




「うわぁ!なんだかもう、本当にすみませんでした!帰るんで、晒さないでください!」
 半泣きのベンジャミンに、

「なに言ってんだ?キサマは、」

 ものすごく不敵に微笑んで、薔は言いました。





「今のは偶然だ。仕置きはこれからだよ、ありがたく思え。」






 (おぉお!けっこうお久しぶりに出た!“ありがたく思え”!)
 見てはいないが、ナナは歓喜に満ちた。

「えぇ…………?」
 小さくはみ出させたまま、呆然とするベンジャミンのまえで、

「オマエら、出番だ。」
 薔が指を鳴らすと、


 ゾロゾロと、狼たちが部屋に入ってきた。


「え………?なんで…………?」
 すこし身を乗り出して、不思議がるベンジャミン。




「だから言ったろ?支配と押し付けは、別モンだと。」





 薔は堂々と歩いて、そっぽ向くナナのとなりに立った。

「血は流さねー程度で、存分に恐怖を植えつけてやれ。」

 この命令に、狼たちは唸りをあげる。


「逃げ惑えよ?ただ同じ事をされるだけだ。」


 ちっさいオトコを見下げたその微笑は、果てしなく無敵だった。




「まぁ俺は、ナナのためなら血を流せても、恐怖は微塵もねーが。」





「うわぁぁぁぁあっ……………!」
 服も着ず、チャックもあげず、ベンジャミンは這いずるようにして駆け出した。




 そのあとをつぎつぎと、狼たちは追いかけていった。

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