※第19話:Game(&Inside).17





 寄り添って歩きつづけて、やがて薔のマンションへとたどり着いた。

 無言でエレベーターに乗り、ほどなくしてのぼりつめたは、15階。




 ガチャ―――…

 開けられたドアから、さきに入ったナナは、


 ギュ―――――――…


 片手でうしろから抱きしめられた。





 パタン

 静かにドアを後ろ手に閉めた薔はつぎに、両手でナナをつよく抱きしめる。

「あの…………、ここ、玄関…………なんで……………」
 ふるえながら言ったナナの首すじに、キスをそっと落として、




「お前、さきにシャワー浴びてこい。」




 耳もとで薔は囁いた。






「で、でも、まだ濡れてるんで、あがれませんよ…………」
「んなもん、気にすんな。」

「んあぁ……………」
 耳もとがくすぐったくて、ナナはビクビクとふるえた。
「まだエロい声出すんじゃねーよ。」
「だっ………て………………」
 息すら乱すナナから離れると、薔は彼女の肩に手を置いた。

「はやく行け。」




「は、はい……………」
 赤面したナナは、おもむろに靴を脱ぎ玄関をあがっていった。




 まえに来てシャワー浴びたから、バスルームは知ってるんだよね、ナナは。
 ということで、彼女はかなりのサービスカットを醸し出して、シャワーを浴びていた。

 ドキドキ

 そして、やたらドキドキしていた。

 この部屋にきて何事もなく帰れたのは、エロスの面においては初回のみである。




「あ、着替え、どうしよう……………?」
 戸惑いバスルームを出ると、脱衣所にはバスタオルと、けっこう長いTシャツが用意されていた。

「あれ?あるよ?」
 ポカンとしたナナは、Tシャツだけ着るとリビングへ向かった。




 (ひゃあ!よくよく考えたら、わたしTシャツしか着てないよ!)
 とにかくけっこう長いTシャツだから隠れてはいるものの、ナナはもじもじしながら歩いていった。





 リビングでは、花子が尻尾を振っていた。
 そして薔は、上半身ハダカになり、タオルで髪を拭いていた。

「ぎゃあ――――――――っ!なぜにアナタさまは、けっこういつも脱いでるんですかぁ!?」
 真っ赤でのけぞる、ナナ。
「あ?」

 流し目で見据えた薔は、


「お前、」


 またしても妖しく微笑んだ。




「エロいカッコで、なに言ってんだ?」




 おわぁぁぁあっ……………!

 ナナはとっさに、Tシャツの裾をつかんでしたに引っ張っていた。

「伸ばすなよ。」

 あ、そうだ、これ、わたしのじゃないわ。

 離したくないがいちおう手を離したナナのまえから、


「待ってろ。」



 そう言い残して薔は、バスルームへと向かっていった。

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