※第19話:Game(&Inside).17






 まるで存在しないかのような雨が、ただただ、ふたりを寄り添わせる。




 狂いゆくのは、愛、ゆえか?

 それとも、狂いきった姿さえ愛おしいものこそが、愛、なのか?






 ザァ―――――――…

 つよまるばかりの雨に打たれ、熱く抱きあっていた。

 時間を忘れてもよいくらいに思えたが、いったんすこし離れたふたり。

 濡れたシャツをつかむナナの、やはり濡れたあたまを撫でて、薔は力強く囁きかける。

「濡れたな。」
 その言葉に、ナナはただうつむいていた。

「風邪でもひくといけねーから、とりあえずついて来い。」


「は、はい……………」

 ゆっくりと立ち上がったふたりは、手をつなぎ歩きだした。









 歩きつづけていると、人通りのけっこうある道路にさしかかった。
 傘もささず、びしょ濡れで歩きつづけるふたりを、まわりは物珍しそうに眺めたりしている。

「ねぇえ!あのふたり、なんだかすごいさまになってるよね!とくに男の子のほう!」
「う、うん!」
 そしてそんなことを、ひそひそと話したりしていた。

「ていうかあのひと、濡れてて色っぽすぎるんだけど?」
「た、たしかに………!」

 あわぁ!と赤面するまわりもいたりしたが、




「なぁ、あの女の子、下着透けてるよ?」
「マジだ。」

 通りすぎる瞬間、そう言って食い入るようにナナを見ていた、ちょっとチャラい男達がいた。

「やばっ、もう透け透けじゃ」
「おい、」


 ……………………は!


 チャラい男達を、もんのすごい目つきで睨みつけて薔は言い放った。




「勝手に見んじゃねーよ。」




 わぁぁぁぁあ――――――っ!

 なんか、さらに透けてるスゴイひと隣にいたぁ!




 (ていうか、明らかに高校生をまえにして、なすすべなし!)
 チャラい男達は、青ざめてそっぽを向いた。






「あ、あの…………、」
 どぎまぎするナナをかばうようにして、薔は歩いていった。

[ 199/550 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る