※第17話:Game(in Hotel).15





 差し込む朝日に、ナナはゆっくりと瞳を開けた。


「起きたか?」


 すると、目のまえで腕枕をしていた薔が、彼女の頬を撫でながら問いかけたのです。


 (ぎゃあ―――――――――――っ!)

「ちちち近いですってーっ!」
「今に始まったことじゃねーだろ。」
 …………うわぁあ……………!
 同じ布団のうえ、ひどく近くで、朝からこんな状態だった。
 (やだよ!もう雰囲気が朝からやっぱり、エッチだよ!)
 真っ赤なナナの頬から髪へとゆびを伸ばして、薔は細めた瞳で彼女を見つめている。

「改めてヤりてーが、時間だな。」
 と、囁いた薔は、すこしだけからだを起こして、


 ちゅっ


 ナナの耳にキスを落とした。


「ふあっ………!」
 ビクンとふるえるナナは、とっさに自身のゆびさきをちょっとだけ咥える。


 体勢はそのまま、耳もとで、



「やたらかわいー反応すんなよ、襲いたくなるだろ?」



 吐息とともに、エロティックな囁きも落とされた。







 着替えたり(※このときはちゃんと別々にね)いろいろと荷物をまとめたりして、チェックアウトを済ませた。
 女将はやはり、薔にはデレデレしまくっていた。





 帰りは一言もしゃべらないタクシーの運ちゃんで、沈黙のなか駅へと向かう。
 帰りも薔が荷物を持っていたが、彼は片手はあけてナナと手をつないでいた。

 真っ赤でうつむくナナだが、こころからしあわせだと思えていた。


 日曜日の駅は混雑もしていて、やっぱり薔は目立ちすぎており、そんな彼と手をつなぐナナも同様に目立ちすぎていた。

 途中からナナには、確かに芽生えていた気持ちがある。

 それはまさに、


 まだ帰りたくない――――――――…


 という、切なる想い。








 そんなこんなんで、ナナと薔が“愛の”旅行から帰ったころ。

 ふたりの街からもっとも近い空港に、ひとりの男が降り立った。



「ここかぁ、」
 金髪で、どこかナヨナヨしたその男は、こう言いました。




「やっと会えるね、オドレイ。」







 …………オドレイって、だれだ?








 Surely............

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