※第17話:Game(in Hotel).15





 座ったまま抱きあっていた。
 ナナはふるえるくちびるで、薔の首すじにキスをしてゆく。
 くちを塞がれた彼は、無言のまま瞳を深く閉じていた。

 いったん着込まれた浴衣を、再び引きはがす。
 左胸についた痛々しい傷口からは、血液がにじみ出ていた。

 ちゅ―――――…

 その血を吸うように、くちびるを押しあてる。

「ん…………………」
 薔は鼻から声を漏らして、ナナのあたまに腕をまわす。




 にじんでいた血液を吸いとると、やさしく舌で舐めてゆく。

「ん―――――――…っ、」
 ナナの浴衣の肩をきつく掴んで、薔は身悶えた。




 しかし、傷口をキレイにしなければ、という想いが、ナナを夢中にさせる。


「―――――――――ん…っ、」
 そのままもつれあい、倒れ込んで、いつしか火照るからだを重ねていた。







「………っ、」
 ナナのしたで、薔は淫れきっていた。
 もはや上だけではなく、はだけた浴衣からはいやらしくもうつくしく足すら覗かせていた。
「ん――――――…」
 せつなく身を捩る彼のうえ、ナナは舌で傷口を癒やしてゆく。


 ギュ―――――――…


 薔はナナに、きつくしがみついた。


「……んっ、…ん………」
 ぐったりしたまま、髪を乱して。


 ナナが、もうすこしだと舌づかいをつよめた瞬間、




「んん―――――――…っ!」




 一瞬、激しくからだを反らして、薔は静かに手を落とした。









「あ、あの……………」
 驚いたナナは、くちびるを離して恐る恐る声をかける。


 彼女のしたで、薔はぐったりと瞳を閉じ、ちからなく横たわっていた。


 ふるえる手を伸ばして、そっと手拭いをはずす。
 すこしだけ開かれたくちびるから、かすかな吐息を感じた。

 ほとんど消えていた傷口を再び舐めて、完全にキレイにすると、ナナは指輪をはずした。


 そして、ぐったりとした薔を抱きかかえ、やさしくそっと布団に寝かせる。

 きちんと浴衣もととのえて、そのやわらかな髪を撫でると、こみ上げる愛おしさに、ただただ泣けてきた。




 寄り添って、泣きながらあたまを撫でているうちに、ナナは薔のとなりで眠りに堕ちていた。

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