※第17話:Game(in Hotel).15





 そして夜は、あやしく濡れてやってきちゃったのかな?



 とりあえずは、運ばれてきた高級な料理を食べた。
 ほとんどは、ナナが。
 ナナは、はじめての蟹に無口になった。蟹はめちゃくちゃ美味しいが、食べにくかった。




 食事を終えて。

「あのぅ………、」
「なんだ?」
 ナナは恐る恐る、薔に尋ねました。

「お風呂、どちらから入ります?」

 と。


「一緒に入るか?」

 返ってきたセリフに真っ赤でのけぞったナナは、

「いいいいいやいや!それはもう、心臓が止まります!止まらないとは言われてますが、きっと止まります!」
 首を横に振った。


「仕方ねーな、先に入れ。」
 ふんぞり返る薔がこう返してきたことに、こころから安堵した、ナナ。

 は、
「あああありがとうございます!」
 深々とあたまをさげ、露天風呂へと向かったのでした。


 残念なお知らせですが、お風呂は別々のようです。








 チャポン――――――…

 露天風呂は、ムードが最高だった。夏だし。
 ナナにとっては本当に、なにもかもが初めてであって。
 サワサワと夜風が、庭の木々を揺らしていた。
「もう、気持ちよすぎるよ!」
 湯船にお湯を流す口のついた岩のすみに、もたれるナナ。
 瞳を閉じて浸かっているうちに、なんと彼女は眠ってしまった。






「おい、」
 薔の声で、意識が戻ってくる。

 (あれ……………?)

「んなとこで寝んなよ、逆上せるぞ?」
 声はひどく近かった。

「あ、スミマセン、すごく、気持ちよくて………」
 目を開けたナナは、まだ風呂のなかだった。


 そして、となりを見ると、




 薔が一緒に浸かっていた。





 (ギャア――――――――――――ッッ!!)

「なななななにをやってらっしゃるんですかぁ!?」
 もはや、真っ赤どころの話ではない。

「あまりにも遅いため、誘ってんのかと思ってな。」

 …………ぇぇぇえっ!?


 彼はすでに隅々まで洗い終えていたため、髪が濡れていた。
 そしてその髪をかきあげており、この時点ではとりあえず、おでこが出ていた。

 (ちょっと!おでことか出されると、違う雰囲気にときめくよ!)
 こんなこと考えてますナナですが、それどころではないよね。


「わわわわわたし、あがります!」
「あぁ、行けよ。」


 ……………………はい?

 出ようといったん意気込んだナナに、薔は言い放った。




「見ててやるから、全部。」




 ………ここであがったらわたし、このひとのまえで全身丸見えだよ。


 赤面し諦めたナナは、風呂に顎まで浸かったのだった。

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