※第15話:Game(in Bed).13





 帰り道に、いた。
 このときふたりは、手をつないでいなかった。

 それもそのはずだ。

 足を負傷したナナを、背負って薔は歩いていたからだ。



「あのぅ………、」
「なんだ?」

 背中で、ナナは恐る恐る薔へと尋ねた。


「重く、ないですか?」
「あ?」

 返ってきたセリフは、



「なに言ってんだ?お前いつも、乗ってんだろーが。」



 だった。


 ………ぎゃぁぁぁぁぁぁあっ!!


 ナナは、真っ赤になる。


「ちょっと、この状況で、エッチなコトは言わないでください!」
「なら、どんな状況で言ってやろーか?」


 …………ひぇぇぇえっ!!


 心臓ドキドキのナナは、体育用のジャージを履いていた。
 スカートだと、チラリズムしちゃうからね。
 ………………たぶん。




 ナナは、ドキドキと震える鼓動が薔につたわってしまわないか、気が気でなかった。

 そんな彼女の鼓動を察していたかは定かでないが、薔はいつも通り、堂々と歩いていた。


 ちなみに彼はシャツが濡れてしまったので、Tシャツに着替えてました。





 途中からナナは、心地よい香りに安堵しすぎて、ウトウトしてしまい。
 そしていつの間にか、薔の肩にあたまを乗せて、眠りにおちていた。








「おい、」

 ……………………はっ!!

 ナナは声をかけられ、あわてふためき目覚める


「ぎゃぁあっ!スミマセン!心地よさに、つい寝てしまいました!」
 顔をあげた彼女は、

「着いたぞ?」


 と言われた。




 本当に、ナナの家のまえにいた。
「門、開けるからな。」
 薔は門に手をかける。


 ギィ――――――――…

 きしむ音とともに、門は開けられた。



「なんか、すみません……」
 ちいさく謝る、ナナ。
「玄関まで、行ってやるよ。」

 ナナ母はガーデニングが好きなため、花が植えられけっこう手入れされた庭の真ん中にある、石畳の道を歩いていった。

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