※第13話:Game(in Sofa).11




「はあっ……………はぁっ………………」
 ナナの下で、薔は乱れた息をしながらぐったりとしていた。

 そしてくちびるを離してよくよく見ると、傷はキレイにもすっかり消え去っていた。


「あの……、傷、キレイに…消えました……………」
「そうか…………」

 ぐったりと瞳を閉じたまま、薔は答える。



「はっ…………はぁ…っ……………………」
 深く呼吸をつづけていた彼は、やがてうっすらと瞳を開け、ナナを見ながら囁いた。


「お前……、何度…でも…………つけろよ…………?」


 え――――――――…?


 呆然とするナナは、そっと、抱きしめられる。




「好きな…とこに…………傷………つけろ………………」







 そして気づくと、登校時刻になっちゃいました。

「あのぅ、別々に行ったほうが、いいですよ…………きっと………………。」
「あ?」

 玄関にて、ナナは消え入りそうに申したてた。


「イヤなのか?」
 ………ぇぇえっ!?

「い、いや、イヤなわけでは、まったくないんですけど……………、」
「なら、行くぞ?」


 ナナが心配なのは、いま学校でもっとも注目されているこのひとと一緒に登校をして、果たして大丈夫なのか?ということなのであった。
 妬かれたりするのが怖い気持ちもあったが、なにより自分が共にいることで、人気に水をさすのが嫌だったのだ。

 正直、騒がれてほしくはなかったが、彼が注目されていることは、ナナにとって本当に嬉しかった。




 などと、思案していたので、


 ちゅっ


 気づくと、くちびるにそっとキスをされていた。




「なに考えてんだ?」











 ふたりが並んで登校すると、学校は明らかにどよめいた。
 スタンバイしていた生徒たちは、口をあんぐり開けたりしながら目で追っていた。


 (おぉおっ………!恥ずかしいよ……………!)
 ナナが真っ赤になってうつむくと、


 ぎゅっ…


 手を握られた。


 (あわぁあっ………!)

 焦るナナとはべつに、堂々と進んでゆく薔なのであった。








「なに?あれ、」
 ギャラリーのなかにて、ヒソヒソとした声が巻き上がる。
 腕を組んだりしているその生徒らは、憎々しげに話しだした。


「学園祭んときから思ってたけど、あの女、生意気よねぇ。」
「ほんっとに。」


「たいしてかわいくもないのに。」


 クスクスクス…………


「ムカつく…………!」




 ナナを見下ろし、吐き出された言葉。






「思い知らせてやろうよ。」






「さんせぇ〜い。」

 パチパチ…………
 邪悪な拍手が、場を飲み込んでいった。








 大丈夫か?
 ナナだって一応、387歳なんだよ?
 んでもって、やたら一応に、ヴァンパイア、なんだよ……………?








 What will happen to her............?

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