※第13話:Game(in Sofa).11





 チュ――――――…

 深く瞳を閉じ、やさしくキスし合った。
 舌こそ入れなかったが、吐息は混ざり合う。




「は……っ……………」
 そしてふたりはもつれるように、ソファのうえへと身を投げたのだった。








 ナナの下で、薔は瞳を閉じていた。
 ソファに身を委ねる彼は、右手で背もたれを、わずかばかりに掴んでいる。


 プツ――――――…

 ナナは教わったとおり、うえからシャツのボタンを外していった。
 すこしだけ手は、震えており。




 ファサ――――――…

 やがて、すべてのボタンを外し終えた。




 ナナは息をのむ。
 左の傷痕はほとんど消えていたが、昨夜つけた右の噛み痕は、深々と痛々しいばかりの牙の傷口を残していた。


 ツ―――――…

 そっとそのとなりを、ゆびでなぞった。

「……っッ、」
 激痛からか快感からか、薔が顔をそらす。



 ナナはかがみ込んで、くちびるを押し当てた。

「あ…っ、」
 そのとき微かに、吐息は聞こえた。





 ナナは舌で、やさしく胸もとを舐めていた。
 しかし、最初のうちはいくらか傷口が開いてしまい、すこしの血液をにじませてゆく。
 その血液と、舌先に当たる突起が次第に硬くなってゆくいやらしさが、ナナの理性を壊していった。

 はじめはやさしかった舌づかいも、だんだんと、激しくなってしまう。




「は………あっ、」
 薔は、淫らな呼吸をしていた。


「……っん、あ……っ、」
 背もたれをきつく掴み、ときどきからだを捩る。



「ぁ…っ、もっ…と…、つよく、…いいぞ……?」

 深く息をあげながら、途切れ途切れに薔は言った。


「ナナ…………」
 髪を乱し、まるで譫言のように名前を呼ぶ。


「は、はい……………」
 ナナはいったんくちびるを離し、返事をしたあと、ちからを込めて舌を押し当て、まるで吸いつくかのように舐めだした。



「っ……あ!」

 きつく瞳を閉じると、薔は声にならない叫びをあげた。





「はぁ…っ、あっ……っ、」
 もはやシャツは脱げかけ、なめらかではあるが骨ばった肩を、露わにさせている。

 ナナはというと、はやく傷自体を消してあげたいという気持ちからか、半ば夢中になっていた。


 舌づかいの濡れた音すら、いやらしくもすでに聞こえていた。



「ん――――――――…っ、」

 やがて薔はソファを掴みながらからだをそらし、

 「ぁ……あっ……」


 艶めく声を響かせた。

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