※第10話:Game(+Esthetic).8




「ナナ、」

 ナナのしたで、薔はまたしても語りかける。

「お前今日は、ここで吸え。」


 そして手をあてたのは、自身の胸であった。


「えぇえっ!?絶対にイヤです!すごく痛いでしょうし、なんかエッチですよ!」
「安心しろ。お前の噛んだ傷は、痕が残んねーことが判明した。」

 えぇぇえっ!?

「そういう問題じゃないですよ!」
 耳すら真っ赤のナナであるが、やはり彼に敵うはずなどなく、



「はやくやれよ。」



 と囁かれ、抱きしめられていた。





「きっと痛いですよぉ!?」
「左を噛めよ?」



 (うぅぅ……………、)
 こんなキレイな胸元に、傷なんてつけたくないよぉ!

 と、泣きそうになっていたので、

「おい、やたらくちびるを押し当てんな。」


 そう言われて、つい、



 ガリッ―――――――…


 つよく激しく、牙をたて噛みついてしまった。




「…―――あ…っ、」




 薔は一瞬、とても短く艶やかな声をあげた。










「………ふ…っ、ンっ………」
 やたらジュルジュルと、血液を吸い上げていた。
 セックスに等しいことと、くちびるに突起が当たることで、ナナはおかしくなりそうだった。


 そして、


「はあっ……………はぁ……っ……………………」
 薔はとても苦しげに、すりきれたような息をあげていた。
 しかし彼はくるしみながらも、ナナの髪を右手でやさしく撫でていた。


「あ……っ、お前…、吸うときは…、ッ、やたら、激しい…な……」


 薔は痛みに、カラダをそらす。


「そんな……っ、美味い…か………?」
「んンっ………」




「は……あ…っ、」

 薔は深く吐息をもらし、

 ギュッ――――…

 左手で、きつくシーツをつかんだ。



「…―――っあ…っ、」
 もはや髪をすこし乱して、ぐったりとしている彼のうえで、


「ッンんんっ……………!!」



 ビクン――――――…




 ナナはイった。

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