第9話:Game(+Fete).7




『あ、ごめんね〜。言葉が足りなかったね〜。』


「はい………………?」

 広志先輩だけ、驚いたようで。





『あのね〜。イケコンの優勝者はね〜、ミスコンのエントリーNo.9の、“三咲 ナナさんを連れ去ったひと”がほぼ全票でトップだったから、あのひとだよ〜。』


「えぇえっ!?」

 またしても広志先輩だけ驚いたが、


「ワァァアア――――――――――ッッ!!」


 体育館中には、ものすごい規模の大喝采が巻き起こった。




『あのひとエントリーしてないけど、だれも文句ないよね〜。いいよね〜?』

「あの……………」
 なにかを言いかけた広志先輩の声はかき消され、


「オォオオォ――――――――――ッッ!!」

 大歓声が、うずをまいた。


『そうだよね〜。文句ないよね〜。校長先生も、もしあのひとが写真集とか出したら、買いたいなって思っちゃったもんね〜。それに、文句なんてとてもじゃないけど言えないようなひとだったし、そこもまたいいよね〜。』
 校長先生は、すこし変態チックになっていた。


『投票理由を言うとね、ん〜、なんか妄想とかカップリングとかシチュエーションとか、いろいろあって言えないくらいなんだけど、一番の理由はね、かっこよすぎてかなりSっぽくて、エッチだったってとこみたいだね〜。』

 一番の理由を、校長先生は3つほど述べた。




『みんな、名前知りたいでしょ〜?知りたい〜?』

「オォオオォ――――――――――ッッ!!」

 校長先生は、もったいぶってはいたがちゃんと調べてはあった。







『1年5組の、暮中 薔くんだよ〜。』




「オォオオォッ………………………………!!!!!」


 大拍手が、体育館をつつみこんだ。



『みんなぁ〜、見物料を払いに行く場合は、校長先生か教頭先生か、担任の先生に声をかけてから行くようにしてね〜。カメラは用意してもいいのか言ってなかったから、あとで聞いてみたいよね〜。』

「うんうんうん!!」

 およそ、校長先生と生徒の会話ではないが、まとまり感はあった。








『じゃあ、つぎはミス・コンテストの優勝者の発表だよ〜。』

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