第9話:Game(+Fete).7
「おぉお…………!なんか、やたらと腹立つ、ちょっと気味悪い人を見てしまったよぉ!」
と言いながら、パフォコンを終えていつもより遅いお昼の時間になっていたナナのもとに、こけしちゃんがやってきた。
「ナナちゃぁん。」
「おわぁ!かわいらしきこけしちゃん!今日もアナタのニコニコ顔は、宇宙に平和をもたらすよぉ!」
「エヘヘぇ。」
そしてふたりで並んで、中庭の芝生のうえでお昼を食べることにした。
学園祭のときこそ、自分の教室以外でお昼を食べよう!
ムードね、ムード。
「ナナちゃぁん、さっきの広志先輩、気持ち悪かったねぇ。」
「こけしちゃんも、そう思ってくれたかい!?」
言うことはアレだが、こけしちゃんはつねにニコニコしている。
「だって、あれ見たら萎えちゃってぇ、妄想が途絶えちゃったよぉ。」
「こけしちゃんの妄想の邪魔をするなんて、許せないよね!」
「そこまでかなぁぁ?」
「うん!」
こけしちゃんはコンビニのいなり寿司を食べて、ナナは焼きそばパンを食べていた。
焼きそばパンて食べにくいし味が物足りないな、と思いながらも、懸命に頬ばってはいた。
「せっかくイイトコまで、イってたのにぃ。」
「それはますます、許せないね!」
中庭の木陰で、鳥が鳴いていた。
「こけしちゃんは、いつもどんな妄想をしているのかなぁ?」
「攻めと受けのあれやこれやだよぉ?」
…………………はい?
「“せめ”と“うけ”って、なに?」
「今度、説明してあげるねぇ。」
……………おぉぉお!!
「ありがとう!やっぱりこけしちゃんは、やさしすぎるよ!二番目に!」
「ありがとうぅ。」
やっぱりこけしちゃんは、二番目だった。
そもそも順番つけるなよ、いくら好きだからって…………。
「ナナちゃぁん、」
「なにかな?こけしちゃん!」
焼きそばパンを食べ終わろうとしているナナに、こけしちゃんは笑顔を向けた。
「ミスコン、応援してるからいっしょにがんばろうねぇ。」
と。
か、感動!!
「ありがとう!こけしちゃん!いま一瞬、一位の座を手にしかけたよ!本当にありがとう!」
「エヘヘぇ。」
こけしちゃんはいなり寿司についていたガリだけは残したので、どうやら食べられないのか苦手なようであった。
ナナは物珍しかったのでいただいて食べてみると、けっこう好きな味ではあった。
[ 95/550 ][前へ] [次へ]
[ページを選ぶ]
[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]
戻る