第7話:Game(+Disease).5






 “愛す”ことにおいて欠かせないもの、

 “魅力”すなわち、“潜在能力”。

 ………………probably.







『逆にストーカーしてやりますよ!?』


 言ってしまったあと、ナナは気づいた。

 (あわぁ!どう考えても、あのひとのストーカーなんて絶対に無理だよ!逆にこんな大人びた女性なら、倍にエッチなコトされちゃうだけだよ!)



 そんなの絶対に、ヤダよ――――――――っっ!!




「あの……………、」


 ナナがこころで変態チックな葛藤に萌えていたとき、すこしの沈黙を破って、目の前の女性が話しかけてきた。




「あなた、あのかたの、彼女さん?」









 でぇぇぇぇぇぇぇえ!?

「ちちちちち違います!違います!わたくしは、いわばオモチャみたいなものです!きっとそうです!たぶん!」


 ナナが必死になってじぶんの身の置きどころを説明していると、

 ………………フッ。

「あははは。」


 その女性は、保健室の(美人)先生・葛篭より、はるかに上品に笑いだした。


 (………………あれ?)


 どうして笑われているのかは、理解できずにいたが、ナナにはわかったことがある。


 (この人、ストーカーなんかじゃないな、きっと。)


 ストーカーに遭ったことなど一度もないので、それがどんなものなのかはナナにはわからなかったが、女性の笑い方には、きっとストーカーにはない、“愛へのほんとうの意識”と“ひとを想う秩序”が、含まれているように見受けられた。




 しばらく笑ってから、女性は、ナナに向かって言った。


「どこかでお茶でもしながら、お話しませんか?」


 ……えぇえ!?
 まさか、ナンパってやつ!?


 ナナにとっては、お茶=ナンパ、であった。





 いらぬ心配をしているナナを見ている彼女は、とてもやさしいがせつない瞳をしていた。





「あなたになら、きっと、話してもいい気がするの………………。」

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