「光くんのことが好きなんや!私と付き合ってくれへん?」
最悪や、と思った。まさか自分の彼氏が私以外の他の女に告白されてるとは…、最悪としか云えへんやろ?光は生憎私が同じ部屋にいるのは気付いてへんようや。それは良かったんちゃう?
「………」
「…あの、返事は今度でええから!」
無言の光に痺れを切らした女の子は走って教室を部屋を出て行った。…そろそろええやろ。光に顔見せてやろ。
『ひーかる!』
「―――!、なんやピカチュウ、いたんか」
『いちゃ悪いんかー?』
「いたんやったら声掛ければ良かったやん」
『だって光、告白されてたみたいやし。私はお邪魔かなー、と思ったんや。…可愛い子やったね。何組の子なん?』
「……別に可愛くもないやろ」
うわお、酷いこと云うやん光。可愛かったと思うんやけど。
「今付き合ってんのはお前やろ。あんま変なこと云うなや」
確かに、付き合ってる私がそんなこと云うのは可笑しかったかな?付き合ったばっかのときは光が他の子と話してるだけでも胸が痛かったり苦しかったりしたのに今は全然そんなことあらへん。なんでやろな?一緒にいる時間が長すぎたんやろか。だって小学校前からの付き合いやもんなー。最初は付き合えたこと、嬉しかったんやで?それは本当。嘘なんて吐いてない…筈や。だけどときめきとか恥ずかしさとか初々しさとか、そういうものが消えたんや。いつの間にか。お互い離れていって、でも胸の痛みはない。可笑しいんやろか?
『―――…そやな』
ゆっくりそう光に伝えた。光は私の目を見て頷いてから私に背を向けた。
「じゃあ、俺部活あるから。今日も一緒には帰れへんで」
『わかった。今更そんなこと云わんでもわかってるで。いつものことやん―――…ってもう聞こえてへんか』
話してる最中なのに部活行くなんて酷いやん。私一人で喋って寂しい奴みたいやから!全く…光も私に対して恋心なんてとっくに消えてるんちゃうか?それでも私と別れないのは……なんなんやろうなー?私には光の気持ちとか考えなんてわからへんわ。


恋ごころと胸のいたみ消えたのはどちら?



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