君おもい | ナノ



02 : 助け、られた?


鞄を持って下駄箱から自分の革靴を取り出して、今履いていた上履きを下駄箱に仕舞う。そして昇降口から出ようとしたら行き成り馬鹿でかいごみ箱が…。…ん?“ごみ箱”?
『え、ちょ!待っ!嘘でしょ!?』
ごみ箱が私の方に向かって来るじゃないか。しかも態々私の顔面へ向かって。これ一般人で避けれたら凄いよ。どんだけ運がいいんだよ。残念なことに私はそんな強運持ち合わせていない。だから私はいずれ来るべき衝撃と痛みに目を瞑った。
『う、わ!』
だけどその前に来たのは妙な浮遊感。驚いて目を開けてみると折原くんのドアップで―――、
『え、折原、くん!?』
「話は後で聞くからさ、ちょっと黙ってて」
後ろではドンガラガッシャーンなんて凄い音がして。多分ごみ箱が落ちた音。というかまずこれって女が一度は憧れる姫抱きってやつですか―――!相手が折原くんというのは残念だけど。
「全く、シズちゃんは危ないなー」
そこで漸く解った。私はコイツ等の喧嘩に巻き込まれたんだ、と。
「取り敢えず―――逃げよっか」
『うわ!』
折原くんが跳ねたり飛んだり走ったりして、私はガクガクと揺れる。
『ちょ、何!?』
「口開けると舌噛むよ」
確かにその通りだ。だから私は大人しく口を閉じた。

助け、られた?
(多分私はさっき折原くんに助けられなかったら怪我を負っていた。)

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