10 : 百歩譲って友達 にこにこにこにこ、目の前にいる折原くんは笑う。それとは対称的に私はかなり驚いていた。あれ?これって告白?違うよね、嫌がらせだ。 『あはは、折原くんって冗談よく云うね』 私が苦笑しながら云うと折原くんはきょとんという顔をした。 「俺、そんなに冗談云った?」 嗚呼、解った。無自覚で冗談云ってるんだ、この人は。 『私、折原くんと喋ったのも少ないよ?』 「付き合ってからお互いのこと知ればいいんじゃない?」 『あのさ、私は折原くんと付き合うつもりなんて全くないから。女の子だったら他にも一杯いるんだし、他をあたってくれない?』 「他の女の子なんてつまらないよ」 私が迷惑するんだよ、と叫んでやりたかった。 「あー、じゃあさ、百歩譲って友達、とか」 『“友達”?』 「うん、友達」 『あー、まあ恋人じゃなかったらそれでもいいよ』 「じゃあさ、響ちゃんのこと呼び捨てで呼んでもいい?」 『うん、構わないけど…、』 「じゃあ響も俺のこと呼び捨てでいいよ」 『えーと…、遠慮したいなあ…』 どうして嫌いな人と友達になってしかも名前で呼ばなければいけないんだろう。 「いいよ、臨也で。他の奴等もそう呼んでるし」 『いや、だから「犯すよ」 ひいッ!危ない!危ないよ! 『えーと…、―――臨也くん』 「まあ、今はそれでいいや」 折はr、いや、臨也くんは満足そうに笑った。 百歩譲って友達 (私は彼を友達だと思えるんだろうか…。いや、思わないと失礼だよね。) [しおり/戻る] ×
|