07 : 今だけは 放課後、私と銀八先生は教室にいた。別段二人っきりと云うわけではない。前の国語のテストの成績が悪かった数人が集められて補習をしていた。因みに今ここにいるのは神楽ちゃん、高杉くん、私、銀八先生だ。補習は各自でプリントをやるというもので神楽ちゃんと高杉くんは机に突っ伏して爆睡してしまっている。それを起こさない銀八先生も銀八先生なんだろうけど。 「さくらってさー、なーんで国語だけ出来ねェのかなァ?」 『…すみません』 いきなり正面に顔が現れてあまりの近さにびっくり、というか心臓がばくばくした。凄く、近い。 「別に謝んなくていいって。ほら、横はこんな感じだし?わかんないとこあれば聞いてくれりゃァいいから。俺も暇だからさ」 『はい』 そう云って先生は手に持っていたジャンプを読み始めた。…私が勉強をやっている目の前で。真剣なその表情に胸が高鳴った。睫毛長いんだな、とか指細いな、とかそんなことを考える。その後我に返って私変態っぽくない?、と赤面する。それが何回か続いて私は勉強もせずに何をやってるんだろうと思った。 今だけは (今のこの空間が好き、なんて) [しおり/戻る] ×
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