05 : 卒業までは 「(あー、やべェ)」 火照った顔を冷やすようにバイクの速度を上げる。夜風が頬にあたって気持ちがいい。さくらがさっきまで俺に抱き付いてた、んだよな。心臓の音、さくらにバレてねェだろうな。バレてたら明日からどう顔合わせていいのかわかんねェ。せめてさくらが卒業するまでは手ェ出さねェって決めてたじゃねェか。それなのにこんなに惑わされるのは、 「(…アイツの所為なんだろうなァ)」 他にも女なんて山程いるじゃねェか。別にさくらじゃなくてもいいじゃねェか。わざわざ教師が生徒に本気になるなんて。頭ではわかってんのに―――ああ!糞!考えんのは止めだ、止め。 卒業までは (さくらの前ではいい先生でいようと思ってたのに) [しおり/戻る] ×
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