俺が見かけただけでもこれだけ悲惨な目にあっていた。(いくつか微妙なのが混じったが・・・。)
そしてそれの3倍以上の数、委員長が事故を未然に防いでいた。
沢田は自分が危ない目に遭いそうになっていたことにも気がついて無いらしく、委員長を見ては
「あっ、ヒバリさん、こんにちは」
などといって暢気にヘラヘラと笑っていた。
偶然を装って沢田の尻を撫でようとしていた中年バーコード親父を、トンファーで滅多打ちにして咬み殺した委員長は
「きみを見てるとイライラするよ。どうしてそんなに危ない目に次から次へと遭うわけ?本当に、むかつく。」

これじゃ目が離せない。

本当に忌々しそうに小さな声で呟いていた。
やっぱり自分が呟いたことには気がついて無いようだった。

そして――これでもまだ無自覚というのだから、本当に委員長は子供のような人ではないか!





風紀委員の間では、密かに結成されている組織がある。

その名も『委員長の初恋を実らせ隊!』

なんちゅーベタな名前と侮るなかれ、委員の組織加入率はなんと100%を誇るのだ。
それは放っておけばひとりぼっち街道まっしぐら、膝を抱えて『愛し方なんて知らない』と延々呟く末路を辿りそうな委員長に、是が非でも幸せになってもらいたいという皆の願いが込められているのだが・・・。

残念なことにここ2年ほど、この組織が活躍する機会はまったくもって無かったのである。

そこに現れた希望の星が、2年A組 沢田綱吉というわけだ。

そりゃ女子ではなく、小動物のように可愛いとはいえ男子生徒を委員長が気にかけていることが分かったときには組織の中で大討論が繰り広げられたものだ。
一時は『沢田綱吉は実は男装した女子なのではないか?』という話にまでなったが、1年のときにぱんつ一丁で走り回っていたのでそれは無いだろう。


しかし、『この機会を逃すともう一生委員長にチャンスは無いかもしれん。あの人のことだ、力さえあればいいんだなどと言ってゴリラやライオンやガメラやメカゴジラを嫁にするかもしれん!相手が人間のうちに妥協するべきだ!!』という意見が大半を占め、結局『委員長の初恋を実らせ隊!』は活動を開始することになった。

活動、といってもそう大したことはしていない。
精々、委員長が不在のときの沢田の様子を報告書と一緒に混ぜて渡したり、沢田と委員長を見かけたら速やかに周囲を排除して二人っきりの時間を増やしたりした程度だ。



ただ、俺にはひとつ気になることがあった。
委員長の沢田への気持ちというのは、聞かなくても見ていれば分かる。
しかし、沢田は委員長のことを一体どう思っているのだろう?

1、ひたすら恐怖の代名詞、暴力の権化(好感度0むしろマイナス)
2、怖いけど強い人(ちょっと好感度あり?)
3、いつも助けてくれるいい人(かなり好感度あり?)
4、その他

今まで見ていた感じからして、さすがに1は無いだろうが・・・できれば2、欲を言えば3であって欲しい。

俺はひとつ試してみることにした。

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