■十月十八日


夢を見た。

夢の中の僕は沢田の柔らかい唇にキスを繰り返しながら、何度も「好きだよ」と囁いていた。
まるで現実の欲求を解消させるように、何度も何度も。
沢田は抵抗することなくそれを受け入れていたが、ふと身を捩るようにして唇をかわし、じっと僕の瞳を見つめてきた。
「俺も、です。俺も、ヒバリさんのこと、好き・・・」
頬を染めながらたどたどしく告げられ、胸がいっぱいになった。
ぎゅうぎゅうと力の限り抱きしめ、顔中にキスを繰り返す。
やっと叶った思いに、喜びが大きすぎてどうやってぶつけたらよいのか分からなかった。
やがて抱きしめていた腕を掴まれ軽く押されたので、苦しかったかと思い身体を離すと、何時の間にかシャツのボタンを全て外していた沢田は、ゆっくりと滑らかな右肩を露にし、潤んだ瞳で僕を見つめた。

「・・・して」

恥ずかしそうな小さな声が耳に入った途端、僕の理性はあっけなく崩れ、彼をベッドに(なぜかそこはベッドに変わっていた)押し倒し体中を貪った。
とろとろと体液を流す可愛い彼のものやひくひくと痙攣を繰り返す後ろの蕾を散々嘗め回して何度もイかせた挙句、限界まで形を変えた僕のものを彼の中に・・・

挿入したところで、目が覚めた。

暫くの間、夢と現実の区別が付かず意識を彷徨わせていたが、はっきりと現実に帰って来て愕然とした。
もう明け方はかなり冷え込む時期だというのに、寝巻きは汗でぐっしょりだった。下の方は汗以外のもので更に濡れている。

ベッドの上で上半身を起こし、膝を抱えた。
正直かなりショックが大きい。
そういう欲求がなかったとは言わないが、今の自分の気持ちはもっとずっと純粋な物だと思っていたのだ。
沢田をひどく汚してしまった気がしてならない。


暫く立ち直ることが出来ずにベッドの上で蹲ったまま時間は流れ、僕は今日初めて学校を遅刻した。


そして、これも今日初めて。


放課後沢田の来る時間に、僕は学校から逃げ出した。





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