■十月七日


三日後に迫った体育祭の準備で、学校中が浮き足立っている。
風紀委員の方も準備に忙しい上に、興奮気味の生徒達があちらこちらで諍いを起こすため、休む暇もない。
大抵の雑務は下っ端の委員たちで事足りるが、やはり僕が足を運ばなくてはならない事も多い。
そうして何故か、急いでいる時に限って沢田に会う。
彼もやはり忙しなく動いているようで、お互いに姿を認めては「あ」と間の抜けた声を発し、そのまま通り過ぎていく。
それが二回、三回と続けば、イラつきもピ−クに達し始める。
顔を合わせているのに話も出来ないというのは、思ったより辛いものだ。
完全な、沢田不足。
何度目かに彼を見かけた時、僕は思わず手を延ばし近くの空き教室に引きずり込んだ。
沢田は最初暴れていたが、後ろから拘束している腕が僕のものだと分かると静かになった。
教室の床の上で背中から彼を抱きしめ、髪に顔を埋めていたのは僅か数分の事だ。
それでも渇ききった僕の身体には、十分な潤いとなった。




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