■十月四日


体育祭が間近に迫り、今日は予行練習が行われた。
学校行事というものは大概待ち遠しいものだが、とりわけこの体育祭と言うものは戦闘を彷彿とさせて僕をわくわくさせる。
まあ、沢田にしてみれば好ましくない行事ではあるらしいけれど。
それでも今年はあまり激しい競技がなくなったため(いわゆる「密着系」と言う奴だ)、安心しているのだろう、控えめではあるがやる気を見せているようだった。
100Mを必死に走る姿は遠目にも微笑ましかった。走り終えた後、頬を染めてへにゃりと笑った顔は、正直他の奴らには見せたくはなかったが。

放課後、仕事に取り掛かった沢田は、案の定書類を片手に舟を漕ぎ始めた。
頑張り過ぎたのだろう、子供みたいだ・・・と堪えきれず苦笑が漏れてしまう。
席を立ち彼の隣に座ると、中途半端な姿勢を起こしソファーの背もたれに倒してやった。起こさないようにそっと髪を撫でる。ふわふわの手触りの中に顔を埋めれば、太陽の匂いがした。
気配に気付いたのか、軽く身じろぎをして小さく声を上げた。
「俺のケーキ・・・取っちゃだめ・・・」
ぼそぼそと聞こえにくい声でそういうと、ソファーの背に預けていた彼が寝返りを打ち、そのままとさ、とこちらに倒れてきた。
多少形は悪いが・・・膝枕?とでも言うのだろうか。

くすくすと小さく笑いながら、体育祭が終わったら、がんばったご褒美にケーキを用意しなくてはと考えた。



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