真吾の場合

 




「あ!草薙さんっ」



「おー」



「なんかあれですね、このひっそりサイトも1212ヒットを越えられてめでたいらしいです!」



「おー」



「どうですか!この勢いで俺と」



「おー…?」



「俺とお付き合いしちゃえばイイんじゃないですか!!」



「………」



「ね!」



「ね、じゃねーよ」



「な?」



「な、でもねーだろ」



「…んー」



「なんだよ」



「俺、草薙さんが好きです!」



…知ってるよ



「あ、そ」



これ以上ないくらいに
ビシバシ毎日伝わって



「だから、ずっと一緒にいられたら嬉しいです」



どこまでもストレートに
その思いをぶつけてくるから



「…あぁ、そー」






ぎゅうと抱きしめる腕の力に
冷めた言葉とは裏腹に鼓動が加速してしまう






「ずっと、好きです」



「…おー」






よく飽きないな
なんて
悪態つくのを堪えて






「…あー、なんつーか」



「はい」





俺も
お前のこと

好きだ
なんて





「真吾」



「…はい」






そういえば
伝えたことなかった






「俺、」



「…」






俯いて
コイツの顔を見なければ

言える
はず






「お前の事、」







言える

たった二文字

それだけ







「す」








「あー!オリジナルがヤブキといちゃついてる!!」

「ばかだな京二、こーゆー時は見て見ぬフリをしろって言うだろ」

「ええ、やだなんか面白そうじゃんっ」

「ダメだ、隠れてこっそり見てたほうが面白くなるんだ」

「ちぇー」








「… … …」



「……」





あ い つ ら





「あー、だから!」



「!っはい」






行き場を失って
宙を漂う言葉を






「お前は今後も懲りずに俺に尽くしてりゃいいんじゃねーのッ!」





ぶっきらぼうに
たたき付けても





「…、へへ、」






嬉しそうに
抱きしめる腕には
より強く力がこもるから






「好き、です!!」



「おー…」






俺もいつかは
こいつみたいに


こんな風に
好きだ、と
言えるのだろうか







「好き過ぎて」



「…、」






「…食べちゃいたくなります、ね」



「っ、ぃ…!」





柔らかく囁く声に
ぞくりと首から背筋に走る波






「草薙さん、」



「い、あ、待てっ」






振り払おうとしても
その力に逆らえ無くて







「好きです」



「…何度目、だよ」









いつもと同じように
流されてしまうけれど






こんなに好きだと言うこいつを


なんだか邪険に扱えなくなってきて






「…真吾」



「はい」



「あんまり調子に乗るなよ」



「う、押忍」



「はは、ばーか」






お前と居たら幸せだ

なんて

口が裂けても言えないけど







「これからも俺のパシリとしてよろしく頼むわ」



「そ、そこから昇格できるように頑張りまっす!!」








笑って

一緒に居られる日常は

とても穏やかで

居心地がいい














――――――――――――
おわり

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