兄弟子さん、初めまして


「なんだろうね、リボーンから急に招集」
「どうでもいいけど教えた覚えないのになんで僕らの携帯番号知ってるんだろう」


まぁ、リボーンらしいといえばらしいが、と未来はため息をついて雪は苦笑をした。
その日は珍しくみんな別々に帰っていた。だから雪も未来も帰路を途中まで一緒にし、そして途中で分かれて家に着いたばかりだったのだ。
なのに靴を脱ぎだしたあたりで急にリボーンから連絡が入り、急遽沢田家に集まれとのことらしい。
未来が雪に尋ねると、雪もちょうど未来にそれについて連絡を取ろうとしていたので、二人で向かうところだったのだ。


「……へあぅ?」
「何これ」


曲がり角を曲がれば綱吉の家、というところで二人は立ち止まる。
綱吉の家の前は黒服を着たいかにも危険そうな雰囲気をまとった人たちに囲まれた。それだけではなく、黒塗りの高級車すらも端っこにいくつも止まっているではないか。


「……武器抜いとくか」
「そうだね。ツナ生きてるかな?」
「物騒な……リボーンから来た連絡は呑気なものだし、大丈夫でしょ……たぶん」
「杞憂に終わればいいけど」


会話が終わるが早いが、未来は日本刀を召喚し、雪は両手に氷で作り上げたナイフを持ち構えた。
手始めに一番端っこにいたサングラスをかけた男に、未来が話しかける。


「へーい、そこのイケメンなお兄さん! 僕たちと遊ばない?」


チャキ、と金属がこすれ合う音とともにそのお兄さんの首元に刀の切っ先が当てられる。


「なっ……」
「動くな!」


そのお兄さんが驚くよりも早く、周りの黒服の男たちが銃を構え未来と雪たちを囲んだ。


「動くな、はこっちのセリフだよ。私たちのボスに何かあったら血を見ることになるからね?」


まるでジャグリングでもするかのように、雪は華麗に真っ白に透き通ったナイフを真上に投げては受け取り、また投げては受け取る。
数多の銃口を向けられても雪も未来も動じず、未来は冷静に続けて尋ねた。


「僕たちのボスに何の用かな?」
「……沢田綱吉殿の知り合いか?」
「……殿?」
「おーい!」


気になる言葉を問いただそうとした瞬間、真上から声が聞こえる。沢田家の方向からだ。
振り返り綱吉の部屋であろう窓を仰ぐと、そこには金髪の男性が身を乗り出し手を振っていた。


「高城 未来に北国 雪だな! 勘違いさせて悪いな、こいつらは見張りに置いてるだけでお前らのボスに危害を与えるつもりはねぇ!」
「ゆ、雪に未来!? お、俺は大丈夫だから武器下げて!」


あわてた二人のボスの声を聴いて、雪と未来は肩の力を抜いて武器を消した。


「お嬢ちゃんたち面白い力を持ってるなー」
「……それはどうも。あんたたちは?」
「俺らはキャバッローネファミリーだ」
「……ボンゴレと同盟の?」


こくり、と別の黒服がうなずく。
らちが明かない、といった風に未来は髪の毛を掻きながら沢田家にお邪魔させてもらうことにした。


「いやー悪い悪い。先に部下たちを下げとくべきだったな。物騒でビビっただろ」
「ビビってはないけど……」
「俺はキャバッローネファミリーの現ボス、名をディーノという。よろしくな」


差し出された手を、一応愛想程度に雪は握る。未来もその手を握ろうとした途端、がっとさらに強くその手を握られた。


「未来、俺のことは覚えてねぇか?」
「……? 跳ね馬ディーノ? その名なら知ってるけど……何?」
「そっか、まぁ前にボンゴレアジトを伺ったときにちらりとあいさつしただけだし、そんなもんだよな」
「え、あ、ごめん……前にあったことがあるのか」


気にすんな、とディーノは豪快に笑う。そして改めて握手を交わした。


「ディーノはツナの兄弟子なんだ。俺がしごいてやったんだぞ」
「へぇ、綱吉より頼りがいがありそう」
「ちょっ未来……」


思わず素直な感想を吐いてしまう未来に、綱吉は打ちひしがれる。
自分が頼れるとは思ってはいないが、認めていなくても一応自分の部下に頼れないとはっきり言われてしまっては傷つくだろう。


「はっはは、そう言ってやるなよ! 俺もリボーンにしごかれる前まではへっぽこだったんだ」
「え、そうは見えないですけど……」
「まぁ、これでもボスを継いでるからな。威厳くらいはなきゃやってらんねーよ!」


にかっと人懐こい笑顔で笑うディーノ。その満面の笑みに、未来と雪は思わず山本を思い浮かべてしまった。


「ま、リボーンに呼んでもらったのはただお前らにあいさつがしたかっただけだ。ほかのやつらはともかく、お前らは完全にマフィアだし、この先どうなろうとお前らにあいさつをしておいて損はなさそうだな」
「そうだね。これからよろしく、跳ね馬」
「ディーノでいいぜ。それとも俺もお前らを二つ名で呼ぶか?ペテン師に雪女」
「うっ……やめて」
「やめてください……」


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