ばさら ゆめ | ナノ



夢現

甲斐の国、幸村…もとい遥香が城の廊下を勇ましくあるく。
先ほど甲斐と奥州が同盟を組んだ。
遥香はその厳粛な会に参加し、つい先ほど解放された。

遥香の顔は疲れきって、いつもの輝く目なんて存在していなかった。

「つっあー…疲れたぁ。
ホント、肩こっちゃうわー。
袴まで着さされて…何故着物じゃない!!いや、袴の方が動きやすくて好きだけどさ、正式な会には着物で出席したいでしょーが。戦に出てても私女だぞ!」

文句を垂れながら着ていた袴を歩きながら大ざっぱに脱ぐ。

「旦那ぁ!!あれほど廊下で脱がないでって言ったでしょ!!」

佐助が何処からか登場。

「あぁ、後で拾うから。」

「そういう問題じゃないでしょうが!!旦那は女の子!!」

「今だけ女扱いしないでよ、この破廉恥忍。」

袴を脱ぎ捨て、何時もの戦闘服へと着替える。

「なっ!?旦那の格好の方が破廉恥でしょ!?」

「隠してる方が破廉恥、佐助なんて露出部って顔だけじゃない。うわ、破廉恥。」

「酷い!!旦那なんてくびれを強調した服着てるのに!!破廉恥!!」

「価値観の違いって大変だね。
つか佐助よ。言ったよな、私がくびれを強調するしか無いということを…ッ。
胸が無い私にはそこしか魅力が無いんだぁ!!政宗をそこでしか誘惑出来ないんだぁ!!」

うわー!!、と頭を抱え悔しがる。
胸が小さい、というレベルではない。無いのだ。
これのおかげでつい最近まで慕い人の政宗にも男だと勘違いされていた。

「こんな旦那ヤダァ!!これが本当に甲斐の虎若子って恐れらてんの!?」

「遥香ー!!my honey!!」

遠くから遥香を呼ぶ声がする。
南蛮語を話せる人物なんて一人しか居ない。

「政宗殿ぉ!!」

さっきまでの死んでいた目は何処へやら。
今の遥香は元気いっぱいの目で輝きMAXだ。

「遥香今日もcuteだぜ。」

「政宗殿もくーるでござるぅ!!」

「え、誰これ。」

佐助の心の声が漏れてしまう。

いやいや有り得ないっしょ、身移り激しいでしょ。
竜の旦那も物好きだねぇ、うちの旦那なんかに惚れるなんてさ。

「政宗殿ぉ…。」

遥香は佐助が自分に対して失礼なことを考えていることを察知し、政宗に助けを求める。

「なんだ?」

「さっき佐助が、某に…某が一番言ってほしくないことを言ってきたのでござる…。」

凄く傷ついた、
と涙目で訴える。

「猿、俺の遥香を泣かすたぁ良い度胸じゃねーの。オイ小十郎。」

「御意。」

政宗の後ろについていた小十郎が前へ出てきて腰にある刀を抜刀。
そして佐助を追いかける。

「ちょっ、片目の旦那止めッ!!」

佐助は得意の忍術で逃げようとしたが、無理だった。
逃げようとした直前ふと遥香の方を見ると口パクで、

『逃げたら減給』

と言ったのだ。

読唇術使えるのって難儀だね。

遥香と政宗は縁側に座り、小十郎と佐助の鬼ごっこを観戦。

いつも通りのほのぼのとした空気が流れる。

「平和でござるなぁ…。」

「だな。」

愛する人とこんなに幸せな時間を送っていてもいいのだろうか。

「政宗殿…某はこんなに幸せな時間を送ってもいいのか、な?」

「why?」

「某達は民の平和を、天下泰平を目指して戦って…賊軍を倒して、血にまみれた某達がこんな時間を過ごしていてもよろしいのか…。」

「良いんだよ。戦の合間の時間ぐらい俺達だってこの時間を過ごす権利がある。」

「それに政宗殿が隣にいることも嘘ではないのかと不安になるのでござる。
某は兵でござるが、政宗殿は一国の主。
何時かは立場に合った正室を迎えるのでしょう?
某は、某は…。」

「stop。」

政宗が遥香の口を閉じさした。

「立場なんて関係ねぇ、俺は、遥香を妻にしたい。」

「ッ!?」

「確かにこの乱世が続けば俺とお前が一緒になるのは難しいかもしれねぇ。
だがな、天下泰平の後は好きに出来るだろ。
だから俺はお前んとこの武田信玄と同盟を組んで、さっさとこの乱世を終わらせてぇんだよ。」

「政宗殿…こんな、こんな女のくせに戦に出ている某でも妻に?」

「YES、」

「傷だらけの…女でも妻に?」

「YES。」

「お、…女としての魅力が全くない某でも妻にしてくれるのでござるか?」

「YES、」

「政宗殿…某、幸せでござる!!」

「当たり前だろ、俺の―――――…








――――将、大将―

「ん……佐助?」

「ほら、大将寝ちゃダメでしょ。」

どうやら遥香は過去を夢で見ていたらしい。

「………夢、を見ていた…。」

「へー、どんな?」

「奥州と同盟を組んだ日の…夢。」

「あー…。」

佐助にとっては苦い日の思い出だ。

「幸せだったなぁ…あの時は、」

「大将、そんな昔のこと思い出して感傷に浸らないでよ。
今あんたは大将だからね、士気を落としてもらっちゃあ困る。」

「分かってる、分かってるから。
私はもうあの人の目には映ってない。」

「…………。」

「伊達政宗、…次戦場で会ったら私達の行く手を阻む敵だ。
昔の恋仲でも、私は手にかけようぞ。」

「そう…ならいいんだけどね。」



――――――――――――――――――
40000hit企画第四弾
紅姫様リクエスト「Bsrで幸村成り代わり♀化でギャグ添いで切甘政宗夢」でした。

こんな感じでよろしいでしょうか?
これが練詠の限界なんです!!bsrで…というより成り代わり♀化なんて考えたの初めてで…。
甘…なのか?最後はなんだかシリアスに…。
というより主人公なんか腹黒いよ!!なんで練詠の書く主人公たちは腹黒くなるの!?二面性なの!?佐助がフルボッコにされながら「平和だね」って、オイ←

まっすぐした性格の子も書いてみたい気がする…。

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