大富豪or大貧民 | ナノ




「あら?大貧民さん逃げなくていいのかしら?
あなた麻薬所持で警察に捕まるんじゃない?捕まりたくなかったら逃げるしかないのに、ねぇ?景吾。」

「……あぁ。」

「ッ!?」

女子は体を翻し、体育館の外へと急ぐ。

逃げなければ、捕まる。
捕まったら…もう。

体育館の扉を大きく開けた。
そこには二人、スーツを着た人が居た。先生ではない、では誰?

「警察だ。」

二人は警察手帳を見せる。

「ッ!?やっいやぁ!!」

女子は逃げようとするが、大人二人相手から逃げ切れるわけがない。
すぐに捕まってしまった。

「うっああぁぁああぁぁぁぁあああ!!!」

絶望で叫ぶ女子。
しかし誰も同情しない。
女子の人生が大きく転落してしまっただけのこと。


「さて、対戦相手は大貧民になって終わったけれど、あなた達はどうしたい?」

そう、けっしてここに集まった生徒は被害者ではない。
ただ見ていた、という傍観者でもはい。
ただの加害者だ。

虐めは見ているだけでも虐めになるという大人たちの指導によって埋め込まれてしまったが故に生まれる罪悪感。

「「「「ごめんなさい!!!」」」」

体育館の中全体に響き渡る謝罪。
満足そうに微笑む杏奈。

「硴山…さん。
また、会長をやってはいただけませんか?」

「あら、あなた…。」

杏奈に辞めてくださいと言ってきた少女だ。

「そうねぇ、いいわ―――」

「本当ですか!?」

「よ、なんて言うと思った?」

ほほ笑んでいた表情が一変。
冷たく少女を蔑む。

「「「!?」」」

「言うわけないじゃない。私は私を一度でも裏切った人なんて必要ないわ。
誰がそんな裏切った人のために面倒くさい会長職なんてするもんですか。自分勝手も甚だしい。
私になんのメリットがあるの?
メリットがあるのはあなた達だけでしょう?私が会長になればまた見学できると思った?
考えが甘いんだよ。
謝ってすべてが終りだと思わないでよ?」

正論過ぎて反論できない。

「いい?納得出来ないのなら何回でも言ってあげる。
一度でも騙された人なんていらない。捨ててあげるわ。
そして会長にもならない。
これが結末。
私の性格までちゃんと把握しておいたらこんなことにはならなかったでしょうね。

ではみなさん、御機嫌よう。
といってもこれから授業なんですけどね。私に近寄らないでね?金輪際話しかけないで。」

くるりと反転し杏奈は自分のクラスへと一足先に教室に向かう。
それに続くメンバー。
最後に跡部。

「おい、お前らもしもこの結末が納得いかねぇで杏奈を虐めるようなことがあってみろ。
その時は俺様がテメェを家ごと潰すぜ。」

言い放ち去って行った。

どうすることもできない生徒。勿論教師たちも同様だ。







杏奈は愉快主義。
なんでも楽しめるゲームに変換して人生を楽しみます。


次の対戦相手はどんなゲームの素質を抱えてやってくるのでしょう―――ね?









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【10捨て】
10を出した枚数だけ場に捨てることができる。


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[mokuji]



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