俺はお前で、 | ナノ

僕と君は、 第01話
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「…お、お前なんて…っ仲間なんかじゃないッ…さっさとし、死ねっ!」

嗚呼、大石君。
君はそんなことを平気で言える人間だったなんて。平気で、人の宝物を壊すことが出来るなんて、
僕は酷く、心が痛い。
そうだよね。僕みたいな人とまともに友達関係なんて作りたくなかったよね。
今まで無理して僕に付き合ってくれてたんだね。僕はその優しさに気付くことが出来なかったよ。僕は人の気持ちを察知することが出来ないようだ。
そんなに睨まないで、そんなに涙を流すほどならば僕をその視界に入れないで。大石君の優しさを無下にし続けていた僕は君の視界に入ることも烏滸がましいんだ。
僕はさ、今、動けないんだ。身体的には前々から苦痛を感じていた。それでも物理的な痛みさえ我慢すれば僕は動くことが出来た。
でも今回は違うんだ。心が痛いんだ。痛くて痛くてしょうがないんだ。苦しんだ。ここから一歩も歩けない。動けない。まるで杭で脳天から床に突き刺さったみたいに動けないんだ。

どうしてこんな気持ちになっているんだろ。そうだ、整理しよう。整理して自身も事態の把握に努めよう。

どうして?
どうしてって、一度に処理できない出来事が今、一瞬で起こったからじゃないかな。
何が起こったの?
何がって、友達だと思っていた大石君が僕の大切にしていたキーホルダーを踏んで…壊して……。
それで?
それでって…それから友達なんかじゃないって言われて、
それで?
また?…涙を流しながら僕を睨んできて、
それで?
…あんなに優しくて気遣いが出来て、一緒に居て僕は、楽しかった。嬉しかった。
それで?
優しい大石君、その優しさは違ったようだ。僕に対する 憐みだ。
それで?
僕が一人、クラスでたった一人、寂しく過ごしていたから、優しい大石君は自らを犠牲にして僕を友達として扱ってくれたんだ。
それで、
それで、それで、
それで、それで、それで、
それで、どうしたいのかな?


それで僕は、死のうと思う。


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