俺はお前で、 | ナノ

俺がお前で、 第06話
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「で、なぜ俺がこんな陰険ないじめを受けなければならない。」

(……すまん。)

次の日友哉が学校に行くと靴箱からゴミが溢れ出ていた。

(これ、毎日あるんや。ここの掃除から俺の一日は始まっとった。)

「おいおいおい、勘弁してくれ。俺は物理的ないじめは平気だけど
こんな陰険なのは大ッッ嫌いだぞ。」

(なんや?辛いか?)

「いや、俺が嫌われてる訳じゃねぇから別にどうってことねーけど…こんな卑怯な真似してる輩が判明したら俺はとりあえず一発殴る。
それくらいこういうのは嫌いだ。
言いたいことがあるなら直接来いってんだ、このチキン野郎どもめ。」

(…そうか。)

そしてクラスに入ると謙也の机にはたくさんの落書きと生ごみが散乱していた。

「……マジかよ。」

友哉の呟きはクラスのざわめきによってかき消された。
昨日まで黒髪だった奴がいきなりブリーチしての登校だったから、

「(めちゃくそ視線が痛いんだが?)」

(当たり前やろ、髪が金髪になっとるんやから、俺のおかんかてびびっとったやろ。)

「(あぁ、そういう類の視線ね。つかお前のかーちゃんすげぇよな。驚いたかと思ったら次の瞬間は爆笑し始めて…。)」

(…せやな。)

友哉はこんな席で授業を受けるぐらいならその辺でバっくれようとしたが、入ってきた教師に呼び止められる。

「忍足、か?その髪…まぁいい……どこに行く、授業が始まるぞ。」

「は?」

なんてことを言いだすんだと驚く。

「(こんな机で授業を受けろってか?つか教師だったらこのいじめを止めなきゃいけねーだろ!!)」

(無駄や、白石が教師を仲間にしとる…あること無いこと言ってな。俺は教師からも迫害を受けとるんや。)

「(……この学校も腐ってやがる。)」

友哉はこんな机に座りたくないかったのでその辺の欠席者の席に座ることにした。

「お前、そこの席ちゃうやろ。その席は自分が傷付けたマネージャーの席や。謙也が座って良いとこやないで。」

白石が声をかけてきた。

「あ?お前このクラスだったのか、ふーん。」

白石の問いを疎かに友哉は机で寝る準備を始め机に伏せる状態になる。

「謙也、調子にのるのもいい加減にしぃや?お前のせいでマネージャーは学校来んようになったんに、また殴られたいん…か!!」

いきなりストレートパンチを繰り出してきた。
しかし友哉はそのパンチも片手で受け止め、そのまま拳を握りしめる。

「っぶねぇな。白石クン、人が寝ようとしたところにパンチかますなんてな。
それに別にここお前の席じゃないだろ。ここの席の生徒は来てねぇみたいだし、来たら退ければいい話だろ。
それともなにか、喧嘩か?受けて立つぜ?」

友哉は白石の拳を握っている手に力を入れ万力の方に締め上げる。

「やめ、離し!!」

(友哉ー、これ朝の挨拶のようなもんやでぇ。)

「え?これから喧嘩が始まるんじゃねーの?なんだよぬか喜びさせんなよ。覚醒した俺がバカみたいじゃねーか。
いいか、殴り合いの喧嘩をする気無いんなら…俺に拳を向けてくんなよ?間違って病院送りにしちまうかもしれねーからな。…もちろん白石に限った話じゃねーぜ?」

とても低い声で言い放ち、微量の殺気を流す。教室の中が初めて謙也に恐怖した。
白石の手を解放する。
白石は一瞬友哉の低い声に恐怖し、たじろぎはしたもののすぐに平常に戻って自分の席に戻って行った。

「(アハハハハ、ザマァ。)」

(喧嘩売って平気なんか?)

「(超余裕。喧嘩仕掛けてくるんなら、さっさと仕掛けて来い…な意気込み。)」

友哉は静かに寝むりに入った。
しばらくたって頭にコツンとした衝撃が走る。

顔を上げてみると教師に頭を教科書でたたかれたようだ。

「俺の授業で堂々と寝るたぁええ度胸やないか。」

「(…誰だ?こいつ。)」

(数学の俺をいっちゃん虐めてくる教師や。)

「忍足、授業で居眠りするぐらいならこの問題もスラスラ解けるやろ。解いてみぃ。」

友哉に黒板まで出てこいと促す。
問題を凝視する友哉しかし解くことができない。

「(……ぁあ?こんなの中学レベルじゃねーだろ!!)」

(当たり前やん、あの先公わざと難しい問題を俺に解かせて恥かかそうとしとるんや。)

「(チッ。)」

「なんや、解けんのか?」

にやにやとした顔で友哉の顔を覗き込む。

「(ムカつくなこいつ。)」

(友哉、x=2a/9bや)

「(あ?)」

(やから答えや。)

友哉は謙也に言われたように数字を黒板に書いた。

「チッ正解だ。席に戻れ。」

教師は悔しそうに舌打ちをし、戻るよう指示。
友哉は席に戻って行く。

「(やるじゃん謙也。)」

(俺は医者の子やで、あんなん楽勝や。)

「(医者の子だったのか!?)」

(俺が偉いわけやないんやけどな。先公を見返すためにはこれしか方法がなかったんや…。効果はなかったけど……。)

「(謙也…努力してたんだな。)」


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