俺はお前で、 | ナノ

お前は君と、 第05話
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「グァッ!!!あ、にき…?」

「お前、俺は虐めはカッコ悪ぃからすんなっつっただろ。それは俺が直々に舎弟にするときに説明したはずなんだが…それを忘れたってことか?」

「ッ…んだよ……俺が慕ってりゃぁ、デカい態度取りやがって…ふざけんじゃねーぞ!!守本がぁああ!!!」

体勢を立て直して反撃をしてくる。

「っせぇよ!!虐めを楽しむクソ野郎が!!」

「なんにも反抗してくねぇあいつがバカだったって話じゃねーかよぉ!!」

「くそ真面目な奴が俺らみてぇな不良に反抗してくるかよ、あいつは…あいつは………。」

「ハァ?守本、あいつとなんて仲なんだよ?」

「…10年来の、友達だぁああ!!」

「!?……ふーん、じゃぁお前、そのオトモダチを守れなかったんだな!!弱っちぃやつ。そんだけ威張ってて俺達を止めずに見殺しにしたってわけだ?この人殺し。」

「人殺、し…?俺は殺してなんかねぇ!!俺は、俺はぁ……ッ!!」

「やーい、やーい、人殺しがぁ!!おい、皆言ってやろうぜ!守本がアイツを殺したってな!!」

一人がこう言うと、そのクラスの中にコールが響く。
洗脳させられそうだ。

「っ……ぁあああぁぁッァぁぁぁぁぁぁあァアァアぁアァアッァぁぁぁあぁっぁああああっぁっっぁぁぁっぁああぁぁっぁぁっぁっぁああああ!!!!!」

友哉は発狂したように、舎弟を殴る。
他のクラスメイトにも手を出す。
そんな様子を見て恐怖したクラスメイトがクラスから逃げ出した奴も逃がさない。

こいつも、あいつも、そいつも、どいつも、
アイツが虐められていたのに、知らないふりをして、その光景を楽しんで、嘲笑って、
人が一人此処には居なくなってしまっているのに、反省も見られない。


「落ち着け守本!!な?な、お前が暴れたって何の解決にもならないぞ?」

騒ぎを聞きつけた生徒も、先生も出てきた。
友哉の前に立ちはだかって説得してくる。

友哉はそんなのも気にせずに、ただただ目の前に居る人をぶん殴る。

「うっせぇえ!!お前もこの学校の副会長が虐められてるってことには気づいてたんだろうが!!誤魔化して誤魔化して、知らないふりをして、あいつを見放したんだろうが!!」

「っ……。」

「反論してみろよ!先公がぁ!!」

先生にまで手を出してしまう始末。
先生が動かないことには学校がイジメを対処しようとは動かない。

まぁ、実際のところ先生が確認できないイジメだって存在していいる。
暴力沙汰、にならなければ先生だって分からない。
先生は神ではないのだから自分が居ないところで起きていることまでは把握できるわけがない。

しかし今回は被害者側が先生に申告していた。
なのに、動かなかったのだから。友哉の暴力は理不尽なモノとは言い難いかもしれない。

友哉が暴れる姿は、
一騎当千、という表記が正しいだろうか?


「守本、やめるんだ。」

「少し暴れ過ぎだと、僕は思うよ。」

騒ぎを聞き付けて、手塚と不二がやってきた。

「……やぁ、手塚に不二。
…手塚お前、知ってたんだろ。あいつがイジメに遇ってること。」

「…あぁ、しかし黙っていろと…言われたんだ。特に守本には言ってほしくないと、」

「………俺は、どれだけあいつに暴力的なイメージを抱かれてるんだろうな。
俺だって、ちゃんと自制は出来るんだけどな…。」

「だったら…その虐殺めいた行為を止めたらどうだ?
そんなことしたって副会長は喜ばないだろう。」

「はぁ?んなこと知ってるよ。あいつが言ってた。俺が暴力を揮う姿が見たくなくて俺には黙ってたって、全部知ってるよ。」

「そうしたら尚更…。」

「うっせぇよ!!黙れ!!!どうせ俺のしてる行為はただの八つ当たりなんだよ!!こんなことしてもあいつは此処には居ないんだ!分かってても、俺の気が収まんねぇんだよ!!
虐めてた舎弟も、加担してたクラスも、傍観してた奴も、黙認してた先公も、…それから、それから……気づいたのに、何もしてやれなかった俺が何よりも憎い!!!」

「……俺も、友達を失った気持ちはやり切れない。しかし、俺は生徒会長として守本を止める義務がある。」

「止める義務?俺は止められる義務はないね。止めれるもんなら止めてみろよぉお!!」

友哉は手塚にさえも殴りかかろうとした。

「友哉、ゴメンね?」

「うわ、っガッ!?」

「僕、手塚の味方だから、流石に君の今の行動は容認できないんだ。」

殴りかかろうとした瞬間に不二に足を絡め取られ無様に転倒。
それから後頭部を殴られて気を失ってしまった。

気が付いたらそこは病院だった。
一応頭を攻撃されたのでと言う学校の配慮。後は学校でまた暴れられたら困るから。


今回の友哉が起こした事件は大変なモノだったのだが、幼馴染の遺書。と親の告訴で友哉の起こした事件は霞んだのかもしれない。
友哉の処分は、他県の学校に強制転校である。

また、虐めに加担した者も数週間の停学処分。

これで青学は前の静かな学校に戻った。
ただ少し、静かすぎる気がする。


嵐の前の静けさだと誰かが揶揄した。


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