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少し前、謙也も家でくつろいでる時、ケータイが鳴った。
着信名は『侑士』
「なんやー?」
『あぁ、流石謙也や。すぐ出よった。』
「なんなんやぁ?自慢大会またするか?」
『いや、今回は要件があって連絡したんやー。』
「なん?」
『なんかな、俺の恩人が教えてくれたんやけど…関東の有名どころの不良達が大阪に遠征的なんしたらしいわ。
なんや血塗れた喧嘩人形【ブラッディーマリオネット】っつーやつをフルボッコにしに行くらしいんやけど…血塗れた喧嘩人形【ブラッディーマリオネット】っつーのなんや発音するだけで口が痒いなぁ。』
「何やて!?」
『なんでそんな謙也が焦るんや?まぁ…一応気ぃつけやってことで電話したんやー、
ホンマ徹底的にやるらしゅーてスタンガンやらなんやら物騒なんも出てくるっつー話やなぁ…やけー出歩かんときよー。』
「ッサンキュな侑士!!またな!!!」
乱暴に通話終了ボタンを押した。
「ッどないしょうっ友哉やから大丈夫やて言えへん、スタンガンやて?アホちゃうか!?
…………オカン!ちょっとコンビニ行ってくる!!」
適当な理由を付けて家を出た。
そして電話を掛ける。
「白石か!?あんな――――――――!!」
今の状況を説明し白石に助けを求める。
そして今友哉がどこに居るか分からないことも伝える。
白石も緊急事態だと思ってくれたのか自分も探してみると言うことだ。
大阪の街を走り回る。
闇雲に走って走って、友哉を探す。
「謙也!!」
「…白石!!」
友哉を見つける前に白石と謙也が出会った。
「見つかったか!?」
「いや、まだや…………ん?あれ…光やないか?」
謙也が反対側の道を歩いている財前の姿を見つけた。
当ても無いようにフラフラと、心ここにあらずな状況。
「……あいつのホッペ…赤くなってないか?」
「ホンマや…光なら友哉の場所知っとるかもしれん!!」
そう思った二人は財前に話しかけるため近寄ることにした。
なぁ…なんでなんや?友哉さん。
ホンマ、友哉さんの考えとることが分からん。
あの状況なら俺を庇って友哉さんはあいつらにボコボコにされるはずやろ。それで俺への愛を見よう思うたのに…俺を庇って殴られてまう友哉さん。なんて美しいんやろ。
そんで俺の手を汚さずに友哉さんは病院生活を余儀なくされるんや。それでお見舞いに行くんは俺だけなんや。
皆にはこう言うんや、精神不安定で俺以外会いたくないんやてって。友哉さんにはこう言うんや、みんな薄情やなって、俺以外の友哉さんに関わるんは要らんのや。
そうなるはずやってのに…なんで?
俺が舎弟やないやて?俺は止めようとは思いません言うたやん。俺の愛が通じんかったんやろうか?弁当にはいつもいつも注いでも足らんぐらいの愛情注いだやんか?
もっともっと要ったんやろうか?手首やなくて…首切っての方がよかったんやろうか?
「―――前――――――ッ財前!!!」
「!?」
財前を呼ぶ声が後ろから聞こえた。
驚いて後ろを振り返る。
そこには謙也と白石。
「謙也…さん、と部長……。」
「自分、友哉の今居る場所知らんか!?」
「………あんな人…放っておけばええんや。どうせ放っとっても勝つんやろ。」
「財前…自分、居場所知っとるな?吐けや。」
白石が財前を睨みつける。
「なんで部長がそなんなに必死なんですか?ホンマ…ダサいっすわ。」
「自分に話がある、ちょー…付き合ってもらおうか。」
白石がくいっと指差した方は路地。
穏やかな話し合いではなさそうだ。
「…………財前…その頬、守本にやられたんやろ。」
白石が確信づいて聞いてみた。
「何やて!?」
財前ではなく謙也が驚いた。
「……それが…どうかしたんですか?
俺は舎弟やないんですよ。舎弟やないって言われて殴られたんや、
ホンマ…自分勝手な友哉さんや。ハハッ!」
友哉を皮肉る様に、自分を皮肉る様に、笑う。
「財前…アホやろ!!自分はなんも分かっとらんなぁ!!」
白石が財前の身体を揺さぶる様にして叫んだ。
「部長かて…友哉さんのこと分かっとらんのんとちゃいますか!?」
「守本のことは一個も分からん!けどな…こっちの道のことなら分かる!!」
「な、あ?」
「ええか?…その話だと、自分は人質になっとったんやろ。その上で守本が財前を殴ったんとちゃうか?」
「…そうです。」
「ハァ…それはな、自分を助けるために守本は自分を舎弟やないってきったんやで?」
「そんなんッ!」
「こっちの道ではな人質になった時点で、そいつはボコボコにされる運命や。
誰がそいつに関わっとる奴を無傷で返すんや?んな訳ないやろ、人質なんて言葉あってない物や、そうやなー…人質なんかよりぴったりな言葉は……飾り…かいなぁ?」
目を細めて財前を見る。
「そんなッやったら…俺ッ。」
「せやなぁ、守本を嫌うんはお門違いやな。」
「俺、友哉さん助けに行かんとッ!!」
「待ち、俺らの舎弟に連絡してから守本んとこ、行こうか?」
「……ッハイ!」
待っとってください友哉さん!!今すぐ助けに行きます!!
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