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♪〜♪〜〜〜
「ん?」
友哉が四天宝寺に滞在するのも片手で足りるようになった日。
関東では味わったことのないほわわーとした時間を過ごして、只今家でのんびりしている。時間的には午後8時。
ケータイが鳴った。
着信名を見てみると『財前』
「もしもしー?」
『…………。』
「…おい、財前?」
返事がない。
『……待ってる。』
「は?」
『――区の―――の廃墟で待ってる。』
ブチっときれた。
「ハ?ちょッは?
…………………はあ?…とりあえず、行くか。」
警戒心全く0で廃墟にやってきた。
「ざいぜーん?ざーいぜーんくーん………!?」
廃墟の中に入って見るとそこには50人以上いる不良の山と、
財前が不良二人によって両手を拘束されている図が目に飛び込んできた。
「おまえらッなにやってんだ!?」
財前の周りを囲っている不良達はニヤニヤと腹が立つ笑みを浮かべている。
「本当に牙がなくなったんだなぁ、テメェ。」
「あ?」
久しぶりに聞いた標準語。
大阪の人ではないことが分かる。
「覚えてねぇか?テメェ…よくそんな腑抜けていんのによ…関東のトップ立ってんだなぁあ?」
「あ?誰が腑抜けてるだって?」
確かにここ最近は平和に過ごしているが、腑抜けた覚えは無い。
「とぼけたって無駄だぜ?このサイトに色々載ってんだぜ?」
と見せてきたのは友哉が大阪の学校でこんな日常を過ごしているところ。
そして極めつけは女装コンテストで花魁の格好をした姿の写真が載せられていた。
「なッ!?黒歴史第2章ォォオオオオ!!!」
「こんなに腑抜けてくれるたぁ、こっちとしては都合がいいぜ。
なぁ、俺らお前のこと嫌いなんだわ。関東に居たらうるせぇお前信者が居るから手が出せねぇが…ここだったら平気だろ。」
「ぁあ?俺がお前らなんかにやられると思ってんのか?」
「俺らもバカじゃねぇ、お前の舎弟のこいつ…財前だっけか?こいつが人質だ。こいつにひどい目をさわさせたくないって思ってるんなら、大人しくしとけ。」
「友哉さん!!」
「ッ………………ハァ?そいつが俺の舎弟?お前らバカじゃねーの?俺は舎弟なんか作んねぇんだよ。」
さっきまでの空気は消え失せて、冷たい空気に変わる。
「ハ、ァ?このサイトには…。」
「友哉…さん……?」
「お前、ネットにある情報を全部信じんのか?ダッサ。」
「んだとコラ!!」
友哉はまっすぐに財前の元まで歩いてきた。
「ッ!?」
友哉は容赦なく財前を殴りつけた。
そして財前の前髪を掴み目を無理やり合わせる。
「なぁ…お前、俺の舎弟なんて名乗ってんのか?すっげー迷惑なんだけど、
そんなん名乗っているからこんな目に遇うんだよ。自業自得ってやつ?
俺、今すげぇ腹立ってんだわ。失せてくんね?」
「ッ……。」
そんな様子を見て財前を拘束していた不良は拘束を解いた。
財前は逃げ出す様に走り去った。
「さて…?お前ら準備はいいか?折角ここまで来てくれたんだ。相手になってやるよ。」
「調子にのるのもそこまでにしとけよぉお!!!!」
「調子にのってここまで来たのはお前らじゃねーのかぁああ!!」
始まった大乱闘。
友哉はウキウキと戦い始めた。
余裕余裕。
微温湯に長らく浸っていた友哉だが、元々喧嘩ばかりしていたし白石との小突きあいならほぼ毎日していた。
普通に戦っていたら友哉は負けない。
「〜ん〜〜♪ッガァアッ!!?」
友哉が膝から崩れ落ちた。
背後から全身に電流が流れた様な強い衝撃を受けて友哉の意識は喧嘩中だと言うのに、気を飛ばしてしまった。
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