俺はお前で、 | ナノ

俺は俺で、 第18話
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「よー、来たぜー。俺の出番まで後どんくらいだ?」

体育館の舞台袖に到着。
舞台袖には白石達のほかに出番を待っている男子とその男子のリスペクト者が居てごった返していた。
そして友哉の到着とともに、舞台袖がヒソヒソと騒がしくなる。

「えー…っと守本やな?」

白石が確認するように言った。

「ぁあ?俺様に決まってんだろ。」

「友哉めっちゃべっぴんさんやー!!」

「複雑だが…ありがとな金太。」

ポンポンと頭を叩いてやるとエヘヘと笑う金太郎。

「そうよ!!金太郎さん、その笑顔よ!その笑顔で舞台に上がって頂戴ね!」

「ん?なんかよう分らんけど、笑えばええんやな!」

次々と舞台に排出されていく女装男子、
体育館のフロアから聞こえてくる声は笑い声だったり黄色い声援だったり、色々だ。

そんな中友哉と金太郎の出番が来た。

「最後のエントリーの二人やでぇ!!リスペクト者はテニス部レギュラー!
そして女装をしとるんはあの天真爛漫ゴンタクレの遠山金太郎君と、立海大付属中学から交換転校生として来とる守本友哉君や…!」

テニス部レギュラーと聞いた体育館は熱狂。
金太郎と聞いた体育館は黄色い声援に包まれた。
しかし友哉だと言うと体育館はどよめきの声が上がった。

「……俺、帰って良いかな。マジで、こんな空気の中出て行きたくねぇんだけど……。」

流石にショックを受けたようで、ネガティブになってしまった。

「なに言うとんや、もう司会者に紹介されたんやで!言って来な、今までより大変な待遇になるで!!」

うっきうきのテンションで友哉を舞台へとグイグイ押してくる。

「……黙れよ、ミニスカナースの準優勝者…。」

「!?なんでそれを友哉が知っとるんや!!」

そう、謙也は一年のころのコンテストにミニスカナースでエントリー、見事に白石には勝てなかったようだ。

「ハン、普通に金色とかが教えてくれたよ!!」


「友哉ー行かんのかー?」

待ちくたびれましたと言わんばかりの金太郎。
君に羞恥心と言うものは無いのか。

「…あぁ…行くか、さっさと行って帰ろう。」

覚悟を決めてステージへと一歩。
そして再び、司会者の声が体育館の中に響く。

「今回の二人のコンセプトは、花魁とその妹分やそうです!」

今だ!と言うタイミングで完璧に舞台袖から出てきた二人、

友哉は日々猛練習した八文字という歩き方をして、
金太郎は友哉が八文字の歩き方をしているからその斜め前で支える役。左肩には友哉の手が乗っている。

ここで詳しく友哉の只今の外見を解説すると、
友哉の方は露出中、鎖骨が丸見えである。が本来の花魁の着物はこんなにも肩の露出はしない。
さらに髪は結っておらず、地毛であの派手な髪を晒している。本来、髪は結ってるものである。

と言うわけで、完璧なる悪ふざけである。
しかし、このコンテストは花魁らしさを競うものではない。
お題は女装、クォリティーが高かったらそれでいいのである。

天然フェロモンをまき散らしながら歩く友哉に会場は呑み込まれた。

そして友哉は舞台の上をしっかりとウォーキングして舞台袖へと帰って行った。

「うううう…ッ死にたい。」

舞台袖に付くなり友哉は体操座り。

「お疲れ様やー友哉。」

「なんでそんな死にたいとか言っとんの?友哉君。」

「だって…だってよ、笑いも、声援もなんも無かったんだぞ!?それにへこんだよ!!うわー、もう最悪!!反応ないとか一番タチ悪いじゃんか!!」

確かに今もまだ、体育館はシーンとしている。

「え?でもそれは…。」

小春が実際のことを言おうとしたら白石がシーッと黙るよう合図した。

「言わんとこうや、おもろいし。」

ニヤァ、とした笑いをしている。

「……白石、自分…性格悪いな。」

謙也がドン引きである。

そして、投票時間。
すぐに結果発表となる。


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