俺はお前で、 | ナノ

俺は俺で、 第15話
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今日も友哉は部活を見学。

そこ、暇人とか言わない。

ベンチに座って見学なう。

「きゃーー!白石くーん!!!」
「かっこいいぃ!!こっち向いてやー!!」
「一氏君モノマネやってぇな!!」
「小春ちゃーん!!」
「金ちゃん可愛いー!!」

「…………。」

女子生徒の黄色い声援が飛んでいる。
友哉がふとその女子生徒の集団の方を向く。

「「「…………………。」」」」

すると一気に声援を止め静かになる。
悪くして、その場から帰ってしまう生徒も見受けられた。

「……なんでだ!!俺なんもしてねぇよ!!いや、したか!?でも不良共に対してだろうがぁ!!」

頭を抱えて唸る。

「きゃ、転校生君がなんや暴れ出した!」
「ねぇ今日はもう帰ろうや。」
「そうしょ、」
「あーもう、なんであんなのが居るんや!!」

女子達が逃げるように去った。

「……過去の…俺の…バカ………。」

「おー、守本自分ええ仕事してくれたなぁ。」

輝かしい笑顔を友哉に向ける白石。

「……んだよ。」

反対に暗い顔をしている友哉。

「やー、いい加減うっといと思うとったんよ。代わりに追い払ってくれるとか自分気が利くやん。
俺が注意したらキャーキャー言って効果無いけんなぁ。」

「…お前、死ぬか?」

「遠慮しとくわ。」

「…で?そんなつまんねぇことを言うために俺の近くに来たのか?あ?」

「誰がそんなつまらんとこでわざわざここに来るか、俺が自分の近くに来た理由はこいつや、こいつ。」

そう言って白石の後ろから登場したのは一氏ユウジ。

「あ、俺を殴ろうとして無様にこけた奴だ。」

「何やワレ、喧嘩売っとんのか?」

「いや、俺買う派だから。お前から俺に喧嘩売ってたこと忘れんじゃねーぞコラ。
誰が、謙也をフルボッコにしたのかなぁあ?お前らの中で終わってることでも俺の中じゃ現在進行形だぜ?来いよ、緑カッパ。」

「なんやと!?」

喧嘩マジで始まる5秒前。

「はい、おしまい。」

「グッ…!!」

「ユウ君自分の目的忘れたらあかんやろ!!」

「ッ小春に叩かれたぁ!!」

白石と小春によって喧嘩は免れた。
友哉と一氏が二人によるチョップを食らうことによって、

「……で、一氏何の用だ。」

「用なんて有るかい、ボケ!!」

「ぁあ?」

「んもう!!ユウ君、謝んないとダメでしょ!!
えーっと守本友哉君やね?」

「え、あ、うん…お前は?」

見かけたことはあるが、直接話したことは無い。
むしろ、こんな人種初めて見る勢いだ。

「金色小春言います。昔のことを今謝るんはおかしいかもしれへんけど、今謝らせてもらうな?
ホンマあんときの自分を責めてやりたいくらい今、反省しとります。
こういう言い方、悪いかもしれへんけど…謙也君や思うて友哉君に酷いことしてごめんなさいでした。」

礼儀正しく謝罪。
しかし、謝られても思い当たる節が無い。友哉はなんだかむず痒い気持ちになった。

「……金色…だったか?お前って…謙也に何したんだ?俺、お前に何かやられた記憶無いんだけど……。」

「…主に、情報操作しとりました……。」

「ふーん……謙也は金色のこと許したのか?」

「許してもらいました。」

「だったら俺も許す、丁寧に謝ってくれてありがとな。」

ニコリと笑って許す。
もともと友哉はお気楽思考のため、二つ返事である。

「やっだー!!友哉君ったらめっちゃ男前やん、惚れてまいそう!!」

「……は?」

先ほどまでの真面目な空気はどこかに吹っ飛んだようで、小春はくねくねと頬を赤らめて友哉にすり寄ってきた。

「ねぇ、友哉クンー、私とピーしない?むしろピーしてあ・げ・るーッ。」

「は?え、ちょ…は?」

「小春ー浮気か!!友哉死なすど!!!」

「いや、俺完璧なる巻き添え食らってんだよ、助けろカッパ!!」

「小春ー、そんな関東モンにくっつくのやめてやー!!」

「やったらユウ君早よ友哉君に謝り、ユウ君だけやで?友哉君に謝っとらんの。」

「ッ……オイ、こら守本!!悪かった!!」

「…………謙也は…?」

「許してもろうたわ!!ラケットだって弁償した!!」

「……許す。」

少々乱暴な謝罪だったが、謙也が許したのなら良いだろう。

「…で小春はいつ守本から離れるんや?」

「アラ、蔵リン嫉妬?」

「んな訳ないやろ。長いことくっついとったら守本が自分はモテとるって勘違いするやろ。」

「ハ!?俺そんな悲しい人物じゃねーよ!?男に好かれたって意味無いじゃんか!!」

「小春はその辺の女子より可愛んやで!!」

「友哉君はー、女子にモテたいん?」

「当たり前だ!!モテてなんぼだろ!?こっちの女子には希望が持てると思ったのによ……ハハ、ハァ……。」

そこはかとなく冷たい空気が流れた。

「やったら私、協力したげるー。」

小春が意気揚々と手をあげた。

「は?」

「詳しくは明日話したげるな!!ほらユウ君、練習しましょ!」

セリフを言って友哉の傍から離れコートに向かう。

「あ、待ってや小春〜!!」

続いて一氏、
無言で白石もコートの方へ歩いて行った。

「……明日になれば分かるんだったらいいか。」


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