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稲荷崎グループの合同合宿がやってきた

ジャージに身を包んであかりと一緒に歩いてると、前から見覚えのある人が歩いてきた


「アランくん!」

「おお、久しぶりやな那月」


駆け寄ればあの時より更に大きくなったアランくんが屈託ない笑顔で頭を撫でてくれた


「「アランくんやー!」」

「おー、双子!」


侑と治も久しぶりのアランくんに完全にテンションが上がってしまってて、アランくんを私ら三人で囲む異様な光景が出来上がってる


「ほら、そろそろ集合せなまずいんとちゃうか?」

「あ、ほんまや」

「てか涼香らの体育館はあっちやで」

「初日は男子と合同や」


急いで体育館に向かえば、そこには稲荷崎グループの中学に在籍するバレー部の面々がおった
みんな強そうな雰囲気がする


「集合」


稲荷崎グループを纏めるコーチの掛け声で整列すれば、余計に空気が重くなったのを感じた

遊びやない

そう諭されてる気がした


「今日から一週間死ぬ気で練習しい
その後で出来たこと出来んかったことを反省して、また死ぬ気で練習や

上手くなりたいならちゃんと目標を立てえ
ただ練習をするんやない、こうなりたいから練習するんやっていう明確な目標を立てるんや

それが出来るやつは上手くなる、出来んやつは上手くならん、そんだけや」


非常に重みのある言葉に誰一人物音を立てないでいると、コーチが咳払いした


「とまあ固いことを言うたけど、一週間前よろしゅうな」


さっきまでの迫力はどこへやら、ニカッと笑ったコーチに緊張していた空気が解ける

その後初日は各々の実力を測る為にひたすらサーブ、レシーブ、トス、スパイクの練習が始まった
全員終えた頃にコーチから各校の監督へ新しい指示が飛ぶ

多分明日からのメニューについてだろうけど、さすが稲荷崎グループ、どの選手もレベルが高い

一年生の内何人が着いてけてるんやろう


「なあ、あの双子凄ない?」


どこの学校の人かわからんけどそんな声が聞こえた
つられて二人を探すと、先輩たちに負けじと食らいついてる姿を捉えた


「「もう一本!」」


ああ、せや、あの二人はこんなギラギラした目でボールを追いかけるんやった
好奇心旺盛、貪欲、負けず嫌い
そして常にその先へ行こうとする向上心
例え挫けそうになっても双子の互いがいる限り諦めない競争心


そんなあの二人を見て自分もバレーをやってたんやった
思わず口角が上がる
負けてられへん

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