(夫婦じゃない…!)


私にはお母さんとお父さん。
そして、双子の姉がいます。
片方は才色兼備。
片方は秀外恵中。
要するに、片方は容姿が整っておりオンリーワンの才能を持っている。
そして、もう片方は容姿が整っており、高い知性を持っている。
似ているようで似ていない双子。
性格も全くといっていいほど真逆。
大人しく清潔感溢れる姉と活発的で落ち着きのない妹。
姉の周りには女友達。
妹の周りには男友達。
自然とそういう形になっていった。
それは高校に入っても変わらなかった。

「お前らってさ、顔も似てねーよな」
『そーだよ』
「性格も真逆だしよ」
『あっちのほうが可愛いでしょ』
「まじそれだな」
『ちょっとは否定しろよっ!』
「だって、あっちの方が告白されてんだろー?」
『おまっ、さりげなく気にしてたこというなよー!』
「やっぱり気にしてたのかよっ」
『双子姉に変な虫が付いたらどーしてくれんのよ!』
「そっちかよ!」
『当たり前でしょ。それ以外何があんのよ』
「へー。双子愛ですかー?」
『そーよ。羨ましいでしょっ』

クラスの男子との会話。
これだけ聞いていたら、きっと私は双子の姉・双子姉が好きすぎる。
そう思われているだろう。
実際、別に嫌いではない。
けど、好きでもない。
どうして人間って他人と比べることしかできないのだろう。
どうして必ずと言っていいほど優劣をつけたがるのだろう。
例え、片方にはあって片方にはなくても、ない方にだっていいところはある。
だけど、片方のが優れている。
そんなレッテルを貼られた私は何をしていても双子姉の上に立つことはない。
私にしかないオンリーワンの才能を持っていたとしても。
そんな扱いをもう長い間され続けていた私は気にしつつも中学のときほど考え込むことはなくなった。

『そういえばさ!今年の1年生がすごいんだよ!!』
「お前はいつまで喋ってんだよ、シバくぞ」
『いたっ!もうシバいてるよ!!』
「うっせぇ」
「お前ら本当に仲いいよな」
『「よくない!」』
「ほら息ピッタリ」
『ちょ、マネしないでよ宮地くん!』
「それはこっちのセリフだっつーの」
「夫婦喧嘩は他所でやれって」
『「だから違う!」』

部活仲間の宮地清志。
マネージャーでしか私の才能を活かすことはできない。
そんな中で出会った彼。
自分にも他人にも厳しい彼の性格は嫌いではなかった。
今まで努力をしてきた姿を知っている分、彼の暴言もみんな無視だ。
それにプラス手が出てしまうのは少し困りものだが。

「コイツはこれでいいんだよ」
『いっ…』

ベシッと頭の上に肘を置く宮地くん。

『ちょっと…!』
「コイツがこんなんだからマネージャーも任せられるんだよ」
『それ褒めてるの?』
「褒めてるだろーが」
「もう、ノロケも他所でやってよ」
『「だから違うっ!!」』

宮地くんといっしょにいると落ち着く。
素でいられる。


(でもまぁ宮地くんならいいけど?)
(ふざけんな。なんで上からなんだよ)


back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -