(最高の相手)


みょうじなまえ。
小学校6年生。
バスケが大好きで時間がある限りバスケをしている。
きっかけは、幼なじみと一緒に公園に遊びに来たときに、たまたま高校生たちが楽しそうにバスケをしていたから。
たった、それだけだけど…。
それだけでもバスケは私を本気にさせた。
そして、今日もいつも通りにいつもの公園にバスケをしに来た。
いつもよりも騒がしいコート。
いつも隣にいるはずの幼なじみは何故か今日に限っていなかった。
私は見知った年上の人に声をかけた。

『こんにちは!』
「お!なまえちゃんか。こんにちは。今日もやりに来たのか?」
『うん!』
「そうか、そうか。本当になまえちゃんはバスケが大好きなんだな」
『だってバスケ楽しいんだもん!』
「ははっ。それはいいことだ!」
『でも、今日は珍しく騒がしいね?』
「お、気づいた?なんか見慣れない奴が来てな。そいつ結構やるんだよ。年も見た目ではなまえちゃんと変わんないと思うよ?」
『見てみたい!どこにいるの?』
「あっちのコートだよ。行ってみてごらん」
『うん!じゃあ行ってくる!ありがとう!!』
「あぁ!楽しんでこいよ!」

私は手を振って少し離れたところにあるコートに向かった。
近づくにつれて騒がしさが大きくなっていっているのがわかる。
そしてコート内を覗くとそこには、中学生を押している小学生がいた。

『すごい…』

彼のプレーを見て感動した。
自由なやり方。
変化自在。
むちゃくちゃ。
彼を見たときいろんな言葉が浮かんだ。
彼を見つめていた私の視線に彼が気づいた。

「あんたもやんのか?バスケ」
『え?私?』
「あんたしかねーだろ」
『私もするよ』
「強いか?」
『え、えっと…』

返答に困っていたら、いつも相手をしてくれている中学生の先輩が私の肩に手を置いた。

「この子は強いよ」
「へぇー」
『そ、そんな!私なんて全然…!』
「そんなことないよ。いつも俺たちを相手にしてるんだから自信もって!」
『でも……』
「つべこべ言わずにやろーぜ。あんたとやってみたい」
『わ、わかりました…』

そして私は名前も知らない人と1対1(ワンオンワン)をすることになった。
なりゆきで始まった1対1。彼と私の闘いはお互いどっちも譲らず続いた。

「あんた、ふつーに強いじゃ、ねーか…」
『そんなっ、君のほうが…強いよ』
「そんなこと、ねーよ…。あんたのほうが…つ、よいっ…」

その言葉通り、二人の闘いは一点多くなまえがリードしていた。

「それより…あんた、反撃がワンテンポ…遅いっ…」
『だって"止まって見える"からっ…』
「止まって見える…?」
『よくわかんないっ。でも一瞬だけ…止まって見えるのっ!』

話しながらでも二人の動きは止まることはなかった。
二人はお互いの体力の限界までやり続けた。
最後には二人とも動けなくなった。
それほどまでに二人の実力は五分五分だった。

「はっ…はっ…」
『はっ…っ…』
「ほんとっ…つよ…いなっ…」
『君っ…だって…!』
「今日の勝負はっ…引き分け、だな」
『そう、だね!』

そして私たちは笑いあった。
暗くなる前にコートにいる高校生たちに帰るように言われた。
私が帰ろうとしたときには、もう彼はいなった。

『あれ…。もう帰ったのか…』

さっきまでやりあっていた人がすっと消えたようにいなくなって何だか少し寂しくなってしまった。

『あ…名前。…聞くの忘れてた…』

ふと、そう思った。
でも、こんなに強いならきっと中学でもバスケをやるだろう。
お互いもっと強くなって有名になったら、もう一度会えるだろう。
そして私は今日の闘いをずっと覚えておこう。
何となく、もう一度会える気がしたから…。
家に帰ると幼なじみがお母さんと一緒に家に来ていた。

『あ、涼ちゃん!』
「よっ!まーたバスケ?」
『そうそう!聞いて!!今日すごく強い子がいたの!』
「で、また勝っちゃった?」
『ううん。引き分け!』
「引き分け!?なまえが!?」
『うん!すんごく強かった!また会いたいなー…』
「……そいつ男?」
『ん?そうだよ?』
「ふぅ〜ん…」
『すっごくかっこよかった』
「…へぇ〜……」

はしゃぐなまえに段々と暗い表情になっていく幼なじみの黄瀬涼太。
そんな黄瀬の様子になまえは気づいた。

『涼ちゃん?』
「…好きになった?そいつのこと…」
『へっ?』
「かっこよかったんだろ?」
『…うん』「…そっか……」

少し彼のことを考えたらほっぺたが熱くなった。
これはなんなんだろう…?
それに涼ちゃんはどうしたんだろう?
しんどいのかな?

「ま、いっか。楽しかったんだろ?」
『うん!すっごく楽しかった!』
「またできたらいいな」
『そうだね!次が楽しみ!!』

そして、彼とあった一日が終わった。
でも今後、私と彼がもう一度バスケをすることは二度となかった…。


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