眠る君に口付けを
またまた見付けたの、貴方が眠る姿に、
私は知らず知らずの内にその姿に見いられていた。
そして、誘われる様に、その へと…
*眠る君に口付けを*
ガラガラっと玄関の扉を開け「ただいま〜」と一声家の奥へと声掛けるが、家に帰るといつもは聞こえてくるはずの声が今日に限って無かった。
「?」
不思議に思い、リビングの方へ向かい顔を覗かせると…
「スー…スー…」
と、気持ち良さそうに寝息をたてて風早がソファーで横になっていた。
風早…メガネしながら寝てる……
風早が眼鏡をしながら寝ている事もそうで有るが、こんな時間から寝てるなんて珍しいな、なんて呑気に見詰めていたら…
「ん、んんっ…ち…ひろ…」
なんて甘い声で名前を呼ばれた。
「……っ」
心臓が飛び出しそうなくらい驚いたし、風早は私と一緒にいる夢を見てるのかななんて考えてしまって、恥ずかし過ぎて顔から火が出そうだった。
と、とりあえずメガネ取ってあげなきゃ!
メガネをしながら寝るのは良くないって聞いた事があるから、風早のメガネを取るため、風早の寝ている隣へ移動した。
そしてソッと手を近付け、メガネを取る。
「(風早…綺麗な顔してるなー…)」
男性に対して綺麗とは可笑しいかもしれないが、その寝顔は私が今まで見てきた(テレビとかクラスの)男性の誰よりも綺麗だった。
メガネを机に置き、ソッと風早を頬へ触れる。
頬を触る時、風早が少しピクッて動いた。
「んっ…」
「(あ、手、冷たかったかな?)」
少し不安になり手を引っ込めようとするが、風早が起きる気配はないのでそのまま触る事にした。
やっぱり綺麗…
私はその寝顔に見とれるしかなかった。
そしてそのまま、
ーーーチュッ
「っ!!!?」
無意識の内に風早の頬へとキスをしてしまった。
慌てて口元を押さえて我に帰る。
私、今何したの…っ!!!??
真っ赤になった頬を押さえて、私は風早から離れ
「っ!!……ごめんなさいっ!」
と、罪悪感からか小さく呟いてリビングを飛び出して自分の部屋へと走った。
途中何度も転びそうになりながら…
「(っ!!な、ななな、なんで!!?)」
枕に顔を押し付けて先程の事をグルグルと考える。
その頭の中はいくら考えても「なんで!」「どうして!!」と言う答えしかなかった。
無性にドキドキと胸が高鳴る
「(風早は家族なのに…っ!!)」
自分でも分からずこの想いをもて余してしまう。
「(な、なんなのこのキモチは……っ)」
自分の中で荒れ狂う想いの正体を知るのはもう少し後になってからの話である。
その後私は、那岐にご飯だと呼ばれるまで枕に顔を押し付けていた。
千尋が出ていった後 →
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