金と白
某上忍たちが吠える事を止めた。
其の理由を上げるとするならば、Sランクをまともにこなせなかったからだ。
当たり前だよな、彼奴らがそうそう1人で出来るはずがないっての。
Sランクさえまともに出来もしねぇでいっちょ前に吠えるからアホなんだ。
いい年した大人が。
ガキみたいに騒いだ所で何もなりゃしないってのにな。
彼奴らを見習ってもらいたいもんだよ。
九尾や爺に修行見てもらったとは言え、其れなりに自力も同然で強くなったんだ。
吠える前に腕上げてこいってーの。
「今日は静かだの」
「そうだな」
そして、邪魔がいなくなった俺たち暗憔部隊は任務に明け暮れていた。
相変わらずS~SSSランクのみの任務で其れなりに忙しい日々を送っている。
街を歩いていてもヒソヒソは絶えずだが、前程でもなくなった。
門前払いされた店も今の状況となってはなくなり、渦巻 鳴門の侭で買い物も出来る程にまで。
九離魔が九尾だと上忍たちや下忍たちにバラさしたりもしたが、彼奴らは其れを周りに言う事もなく、大きな騒ぎは避けられそうだ。
「のぉ鳴門」
「何?」
「ふと思ったんじゃが…」
今、死の森にある本宅でゆるりとした時間を堪能していた。
九尾と2人で。
「何故、甘味は美味いんじゃろうな」
「俺が知るかよ…」
こんなのほほんとした時間は本当に久しぶりだ。
ましてや、九尾と2人きりは何時以来だろうか。
此処も段々と彼奴らが来るようになってからは賑やかになってきたからな。
もう随分前だもんな、九離魔を口寄せで成功させたのって。
其れから俺は1人じゃなくなった。
傍に、此奴がいてくれたから。
だから俺で居られた気がする。
「のぉ、鳴門」
「ん?」
「ワシはきっと鳴門じゃなかったら此処にはいまい」
「何だよ急に…」
「感謝しておると言うておるのだ」
「うわ、九尾が感謝とか…」
「ワシが感謝したらいけぬのか?」
「キャラじゃねぇだろ、どう考えても」
でも、俺も強ち其の言葉に対して喜びを感じていた。
九尾がいたからこそ、今の俺がある。
九尾がいなかったらどうなってたんだろうな。
俺の母親が人柱力で父親健在な状況だとしたら。
少しは違ってたのかな?
「人間も悪くはない」
「其れを言うなら大妖怪も、な」
「壊すだけの此のワシがだ。こうやって人間とゆるりとした時間を過ごすなど、世の人間どもは1oも考えておらぬだろうな」
「だろうな」
俺の腹の中に封印されてるとばかり思ってんだろ。
腹の外に出て甘味を食べ歩いてるなんて、もちろん思ってないだろうし。
「こんなに楽しみがあるのも悪くはない」
「俺も、お前がいてくれてよかったよ」
「鳴門こそ、らしくないぞ」
「そう?」
九離魔がいたから今の俺がいる。
「ありがとな九離魔、傍にいてくれて」
「むむ、なんかこそばゆいの」
でも悪くはないと呟く九離魔にクスクス笑った。
俺と九離魔は運命共同体。
此れから先、変わることのない関係。
俺はお前の為に動こう。
お前は俺の為に動いて。
お互いに依存しても其れは其れで構わない。
何て言ったって、俺たちは運命共同体だからな。
End…
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