第3試験

 
第3の予選試験が終わり、鳴門たちは我愛羅たちと一緒に試験会場を後にした。

「此れから1ヶ月とうする?」

「どうすっかなぁ…」

「1ヶ月って長いよねぇ…」

「3日後とかなら、体も休められるものだからね」

「大名たちも見に来るじゃん?だからじゃねぇのか?」

「其れにしても遅いだろ。予選から本選までこんなに空くとは思わなかったな」

言いながら、フムフムと我愛羅の言った言葉に頷く一同。

「本当にどうすっかな…」

「適当に修行付けるか?」

「そうだな…」







其の日から、我愛羅や手鞠や勘九郎に修行を付けながら過ごす中、ある出来事が起こった。

「鳴門…」

「嗚呼」

団扇 鼬が鳴門たちの前に現れたのだ。

「久しぶり、だね。鳴門くん」

「久しぶりだな、鼬。で、そっちは?」

鼬1人じゃなかった。
もう1人、仲間を連れて木の葉へ来ていた。

「私は干柿 鬼鮫です。以後、お見知りおきを…」

「団扇 佐助の兄ちゃんと、鳴、お前どうゆう関係だ…?」

「そっか…鹿は知らないんだったな。
鼬は昔、俺の監視役だったんだ。監視役っつっても、俺は其の頃もう暗部にいたし、監視役って名前だけで実際は俺が殺生をやり過ぎるのを止める、とかそんな感じ?
昔は今よりもかなりイライラしてたし、路地裏連れ込まれたりしょっ中でムカついて殺してたりしてたから見兼ねた爺が鼬を俺を止める係に選んだ…?」

「嗚呼、鳴が言いたい事はよく分かった…」

鹿丸と出会う前の話。
鳴門が総隊長になる前だから、もう随分と経つ。

「で、鼬。どうしたんだ?
急に木の葉に帰って来て…何か用事か?」

「いや、君の顔を見に来ただけだよ」

「私たちは、暁と言う組織に入っていて、ある任務を課せられたんです。
其れが、人柱力を捕獲すると言う任務です」

鬼鮫がそう言うと、鹿丸の眉間にシワが寄った。

「鳴門を連れてくって言うんじゃねぇだろうな…?」

「いいえ。鼬さんから貴方の噂は兼ねがね聞いてます。
とても、私たちが敵う相手ではありませんからね」

「そうだよ。無駄死にはしたくないし。
鳴門に敵う奴なんていないと俺は思ってるから、今日は本当に会いに来ただけだ。
元気そうな顔が見れてよかったよ」

そう言って鼬たちは去って行った…。

「何だったんだ…?」

「鼬とは、ある約束してんだよ」

「約束…?」

「嗚呼。爺が死んだら、俺は此の里を出るから…そん時は迎えに来てって言う約束」

「爺が死んだら、里にいたって意味ねぇもんな…」

「だろ…」



あんな出来事がありながらも、刻々と時間は過ぎていき、あっと言う間に、中忍選抜試験、第三の試験当日となった。

「さて、やるか」

「メンドクセェが…」

「頑張ろうね!」

「鳴くん鹿くん聯くん頑張ってね!パパ応援してるからッ
其れから、木の葉の忍は殺しちゃ駄目だからね!?」

あくまで、木の葉だけと主張する湊。
内心、笑いながらも眉間にシワを作る。

「…つまんねぇな…ったく」

「まぁまぁ鳴くん、同じ里なんだからさ?
遊び相手ぐらいで、ね?」

「仕方ねぇな。我慢してやるよ」

会場の中に入る俺たち。

他の勝ち進んだ下忍と一緒に、会場となる場所に1列になり整列した。

「全員集まったな」

今度の試験官は、竹串を加えたゲンマ。

「前にくじ引きした通り、数字順で試合を進める。
一番最初、渦巻 鳴門と日向 螺子以外は、上に行って観戦だ」

そして、残った鳴門と螺子。

「此れ程早く下忍、いや五大国最強と言われる奴と手合わせできるなんて、嬉しい限りだ」

「其れはどうも…」

「どちらか1人が戦闘不能、戦えない、ギブアップした場合はこちらが判断する」

そして、試合が始まった。



【鳴門Side】

殺すな、だろ…?
面倒だな…でも、少し遊んでやるか。

「そう言えば、日向 雛多に運命だの何だの言ってたな…」

「人は生まれながらにして運命が決まってる…」

ふぅん…運命、ねぇ。

「一生拭い落とせない印を背負う運命がどんなものか、雛多さまは理解されてない」

「じゃあ、何だ。
自分は本家に生まれるべき人間だったとでもいいたかったのか?
其れを分家に生まれて本家の人間を恨んで当然だって?」

「…………」

「お前さ、其の運命がどうのこうの言ってっけど、自分だけが特別みたいな考えはよした方がいいぜ」

フンッ、と鼻で笑ってやると奴の眉間にシワが寄る。

「貴様に何が分かるっ!」

「テメェの知らない所で、他の奴が何処でどんな仕打ちされてきたのかも知らないなんて、言わないだろうな?
そんなテメェが自分が一番可哀相なんて思うのは、正論か?」

スゥ、と目を細めた。

「ある奴は、生まれた時からずっと殺されかけ続けてきた」

「狽チ!?」

「見ず知らずの大人に、毒盛られたり殴られたり蹴られたり刺されたり顔見ただけで石投げられたり、そんな奴捜せば世界中に五万といるんだ。
其奴だけじゃない、他にも同じような境遇にあってる奴だっているって事だ。
だから、テメェが俺は特別だとか吐かすような事じゃねぇ…

まぁ、そんな下らねぇ話するよか今は…」

試験中だからな。

瞬身の術で目の前に移動すると、奴は目を見開き、すかさず腹に蹴りを入れた。

―ズザザザザァ…

「手加減、してやるから。向かってこいよ」

クイクイ、と人指し指を曲げる。

「っ……」

手加減してやったとは言え、肋骨2・3本折っただろ。
奴はムクリ、と起き上がった。

「……はぁ、はぁ…」

そして、印を結び始めて術を発動する。

「白眼!」

「…多分、其れ意味ねぇぞ?」

「くっ…」

俺に白眼使ったって、たかが経絡系見えるだけだろ?

はぁ、何か面白くねぇかも。
やっぱり下忍だな。

………終わらせるか。

俺は印を結び、術を発動した。

「風遁、斬衝刃(ざんしょうは)」

俺の背後から、現れた其の風は奴に向かい、上から奴を捕らえる。

風の衝撃と無数の風の刃が一気に襲う。

前に我愛羅たちと一緒に修行を行った時、手鞠が使う風遁を見て、思い付いた術だ。

手鞠と違い、狙った奴が宙に浮かない。
上から抑え付けるように、通常の重力を2.5倍にした感じ?

術を受けた奴の周りの地面は、重さで凹み奴の体は風の刃で斬り刻まれ血が滲んでいた。

「……っ…」

バタン、と倒れ、ゲンマは傍に寄り、

「勝者、渦巻 鳴門!」



【鹿丸Side】

鳴門の勝利に終わり、次は俺の番。

『俺爺の所に行ってくるから』

そう言い残して、鳴門は三代目の所に。

しかしなぁ、相手は手鞠か…。
女とだけは正直、やりたくなかったぜ…。

まぁ、何とかなるだろ。

下に下りて、手鞠と向き合う。

「メンドクセェなぁ…」

「何言ってんだい。アンタ、鳴門を守るんだろ?
女だろうが、忍は忍だ」

「分かってるけどな…」

試合が始まった。

手鞠はデカい扇子を広げて、早くも俺に攻撃を仕掛けてくる。

瞬時で避けて、影に入る。

どうすっかなぁ…



【鳴門Side】

風影さまに挨拶をし、爺の隣に立っていたら、付き人の暗部が椅子を用意してくれて、其れに座る。

「今度は鹿丸か」

「此の前の…」

「あの子は風影殿の娘では?」

「嗚呼」

今此の場所に親父はいない。
俺たちの担任上忍、いや、担任火影として聯の傍にいるだろ。

鹿丸の試合に目を向けた。

手鞠との交戦中、隙を付かれた手鞠が鹿丸の影真似に捕らえられた。

そして、鹿丸はゆっくりと、手を挙げると、ニヤリと笑った。
其れを見た手鞠が、フッと笑い…

「ギブアップ、流石だねアンタ」

そう言った。

勝利は鹿丸。

さて、次は我愛羅とあの団扇 佐助か…。

「両者、前へ」

鹿丸と手鞠は観覧席に戻り、我愛羅と佐助は下へ下りる。

「爺、分身置いておくから」

「何か用事か?」

「否、鹿に会いに」

「そうか」

分身を作り出し、俺は鹿丸たちがいる観覧席に移動した。



「鹿」

「…何だ鳴。三代目の所にいなくていいのか?」

「嗚呼、分身置いてあるから」

観覧席、其処には親父に鹿丸に聯、手鞠に勘九郎がいた。

「見物だな」

「嗚呼」

「ずっと鳴くんたちが修行付けてたもんね。
休養の間、案山子が面倒見てたみたいだけど…」

「案山子が…?」

あ、そうだよな。
案山子は団扇 佐助の担任上忍だったな…。

「ま、殺せないのはもちろんだけど…団扇 佐助が何処までか…」

弟だから、同じような力を持つとは限らない。
案山子程度の奴に修行付けてもらった所で精々知れてる。

「我愛羅に傷を1つでも付けられるかな…」

「佐助くんは我ぁくんに傷は付けられないよ」

「だな。其れが正解だ」

下にいる我愛羅と佐助を眺める俺たち。

「案山子はどう思う?」

「アレ、やっぱりバレてた?」

やけに楽しそうな声が後ろから聞こえてきた。

「俺としては、1つぐらい付けてほしいなv」

「無理だよ案山子」

「先生?」

「我愛羅くんを育てたのは鳴くんだよ?
付けられる訳ないでしょ?」

クスクスと笑い、親父は振り返る事もなくそう言った。

「マジですか…此れは、危ういなぁ…」

そんな会話の中、俺は団扇 佐助を見つめていた。

『彼奴の何を知ってる…!』
『殆ど全て…と言った方が正しいか?昔は良く一緒に任務してたしなぁ』
『…団扇の人間じゃあ、なさそうだな…』
『団扇じゃねーよ。俺は普通の木の葉の忍だ』
『知ってるか?彼奴が一族を滅ぼした理由』
『そんなの!自分の器を計る為だって吐かしてたぜ…』

そうじゃない。
彼奴は、俺の代わりに…。

『…本当の理由を教えてやろうか?』
『本当の理由だと…?』
『嗚呼。彼奴が一族を滅ぼした本当の理由は…』

あの夜、本当ならば俺が団扇を滅亡させる筈だった。

団扇は火影を、爺を裏切るつもりだった。
団扇同士で密会し、爺を殺す手立てを考えてたんだ。
其れを鼬が教えてくれた。

鼬は表向きには木の葉の内情を探る為にスパイとして団扇から送られていた。
が、其れはあくまでも表向き。

本当は真逆で、爺に心から忠誠を誓い名を捨てた男。

そんな男を、殺したいくらいに憎んでるんだろうな…。

真相を知らない侭。

可哀相に、な…

「鳴…?」

「何でもないよ」

だが、アレは団扇vs木の葉の戦争だった。
鼬は団扇の名誉や名前に執着する団扇一族が、醜いとさえ思っていたからこそ、だから、名を捨てて爺の下に付いたんだ。

「スピードはまぁまぁだね」

「でも、あの程度のスピードじゃ我愛羅には通用しない」

「負けは確定だな」

下忍としては、其処そこ速いだろうスピードだけど。
我愛羅の砂が佐助の全ての攻撃を防御してる。

力の差は歴然。

「時間の問題か…」

「次、聯だろ?相手は暗部の根の…」

「佐為くん?」

「嗚呼。あれでも暗部だ、取り敢えず気をつけろよ?」

「うんv」





試合は我愛羅の勝利で終わり、聯と佐為って奴が下にいた。


【聯Side】

「よろしくねv」

「………」

アレ…?
無視されちゃった…。

(聯、頑張れよ)

「煤c……v」

鳴くんの声が聞こえてきた。

鳴くんたちが見てる前で、負けられないよね。
気合い入れなきゃ!

そう思って、ホッペを2回、両手で叩き佐為くんを見つめた。

「始め!」

試合が始まると、佐為くんは僕との距離を離してポーチの中から巻物を取り出した。
そして、スラスラと筆で巻物に描き始める。

「忍法、超獣偽画」

巻物から墨の虎が5体、飛び出して僕に向かってくる。

腰に挿してある刀を抜いて、斬り付けると今まで動いてた其れはただの墨になって、地面に落ちる。

「忍法、超獣偽画」

今度は鳥が3体。

バサバサと空中を飛び回ってる。

殺しちゃいけないから、みね打ちくらいで大丈夫かな…?

先に、あの鳥さん消さないとね。

僕は印を結び、術を発動させる。

「火遁、鬼火(おにび)」

僕の周りに水色の火の玉がユラユラと漂い始めて、鳥さんと同じ数だけの鬼火。

鬼火からは絶対に逃げられないよ。
何秒持つかなぁv
 

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