騎士スザ皇子ルルシリーズ

 
僕の朝は早朝から始まる。

―コンコンッ

と扉をノックして、部屋に入った。

彼はブリタニアの皇子や姫の中で断トツの(受けとしての)美貌を持っている。
其れだけではない。
艶のある黒髪、象牙色のきめ細かい肌、紫色の大きな目。
身長も高くて、手足がスラリと長くて、華奢で、頭脳明晰だけどちょっと体力がない可愛いニャンコ。

兄弟の中で一番濃くブリタニアの血を引いている彼は男女問わずにモテモテ。
自分がモテている事を理解してない鈍感で、愛想よくにんまり笑うもんだから、女は愚か男までも虜にしてしまう程だ。
例え、其れが放送されるTVであったとしても変わらない。

彼を短く言うと鈍感、無自覚、自己中、気紛れニャンコでドエスな女王様…。

人使いは荒いけど、でも彼だからついて行くのは理由が理由。

だって僕たち、相思相愛なんだもん。←

「殿下、朝です。起きて下さい」

「…っ…」

声をかけた瞬間に彼、ルルーシュは眉間に紫波を寄せた。
彼はかなりの低血圧。

「……ルル、起きて?」

ゆっくりと瞼を開けて、上半身を起こしたルルーシュと目が合いにっこり笑って朝の挨拶をと思い、口を開いた。

「ルルお早狽っ!!(汗)」

いきなり拳が飛んできて、咄嗟に其れを避けるとルルーシュは

「っち…当たらなかったか…つか何故避けるんだ馬鹿」

舌打ち。

「避けるよ普通っ危ないじゃないかルル!」

「…主人を呼び捨てにするとはいい度胸だな…」

「2人きりの時に敬語を使うなって言ったのはルルだよ?」

そう僕が言うとルルーシュは溜息を付いた。

「何時も何時も、お前は起こすのが早い…今何時だと思っているんだ」

朝の6時です。
此の時間帯に起きるのって普通じゃない?
僕たち仮にもまだ学生だよ?

「仕方ないよ。ルルは起こさないと昼までグッスリ寝るじゃないか」

「だからって、オフの日ぐらいゆっくり寝かせろ!此の体力馬鹿っ!」

そう、今日は日曜で軍の仕事も学校も何もない日。
だ け ど !

「ダメだよっ!今日はルルと誰にも邪魔されずにデートするって決めてるんだからv」

「そんな事の為にお前は…ワザワザ此の俺を朝早く起こしたのか…?」

「そんな事じゃないよ。僕にとっては大事な事!」

「おい、体力馬鹿」

アレ、何か怒ってるね…。
どうしたんだろ…。

「どうしたのルル、つか体力馬鹿じゃないよ僕は」

「本当の事だろ…。
其れよりも、俺が日頃どれだけ忙しいか知ってるだろ?あちこち駆けずり回ってるのに、お前は主人の体を労る事を知らないのか?」

「知ってるよ。
オデュッセウス殿下がエリア11の何もかもルルに任せて自分はニコニコ笑ってるだけだし、シュナイゼル殿下が特派をルルの直属にするし仕事ほっぽり出してルルに会いに来てはルルが怒って帰らすし、其れでまたロイドさんやセシルの所に行っては新しいナイトメアの研究してるよね?」

ディヴァイサーの僕だけど、ルルーシュの騎士だから殆ど毎日一緒に行動してるから、もう隅々まで知ってるよ。

「其処まで分かっていながら、毎日そうゆう事をしてる俺が疲れていないとでも思っているのか?」

「其れは其れ、此れは此れ」

「つくづくムカつく男だな体力馬鹿…大体、主人の俺に刃向うとはどうゆう頭しているんだ…」

深い溜息を付いてルルーシュは僕の腕を掴んだ。

「マントを取れ」

「…どうして?」

「いいから取れ」

何故急にマント?と思ったけど言われた通りにマントを取り、椅子にかけた。

「今日は室内だ。外へは出ない、此れは命令だ」

そう言って、ベッドに引き摺られて押し倒され…
ルルーシュは僕に抱き着いてきてまた、眠りに入った。

「折角のデートが…」

いいよ…もう。
今日はルルーシュが嫌がってもベッタベタするから。
怒ったって無視するから。

可愛い寝顔を見せるルルーシュを見つめて、そう心の中で思いながら僕もルルーシュを抱き返して瞼を閉じた。

「…………………………」

パチリ、と目を開いた。

さっき起きたし、流石にもう眠れない。
お昼寝ならまだイケたかもしれないけど、時刻はまだ7時にもなっていない…。

「此の侭ルルが起きるのを待てって言うの?

………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………拷問だ(涙)」

直ぐ傍には大好きなルルーシュ。
ピッタリと密着し、しかも今日は自分から抱き着いてきた。
其れに首筋にかかるルルーシュの寝息。
ほんのりと香るルルーシュの匂い。

日頃はドエスで僕以外の人間にはかなり酷い。
例えば、シュナイゼル殿下とか皇帝だとか…此の2人にはかなり酷いかも。

平気な顔して死ねだの失せろだの汚い顔を見せるなだの…etc...
言い出したらきりがない程出てくるんだ…暴言が。

暴言を吐かれたって嫌われてたってあの2人は関係ない。

だって、ルルーシュ愛凄いし。

そうだからルルーシュは嫌ってるんだけどね。
ルルーシュだけじゃなく、ナナリーもなんだけど…此れは黙っておこう。

だって、ナナリー黒いし。
ルルーシュよりレベルの高い暴言吐くし…。

う〜ん(汗)
考えたらちょっと寒気が…

ギュウ、とルルーシュを抱き締める腕に力を入れた。

「っ…たぃ…スザ…ク…」

「!あ、ゴメンねっ」

腕を緩めた。
直ぐにもまた安らかな寝息が再開。

あぁ、此れは絶対昼まで起きないな…と確信した。
今日は室内と命令されたのがまだ納得いかない。

夏だから?
歩きたくない?
汗かきたくない?

だったらナイトメアで航空ドライブとかいいじゃないか。
今空飛べるし。
ナイトメア内エアコン取り付けるから!
何なら冷蔵庫も付ける!

何時でもアイス冷やせておけるし!
プリンだって!

そう考えているうちに、ウトウトと…。



















―スパコーンっ!!

「狽「っ…て、アレ…」

突然何かで叩かれて飛び起きると、ルルーシュが片手にスリッパを持って腕を組み、物凄く怒っていた。

「お早う、ルル…」

「貴様…今何時だと思ってる…」

え?

部屋に備え付けの時計を見てみると時刻はお昼の1時過ぎ。

「うわぁっ…寝過ぎた…」

「寝過ぎた、じゃない!
何が昼までグッスリだ…貴様なんか起こしても起こしても起こしても起こしても起こしても起こしても…(怒)」

すいません…(汗)
ゴメンなさい…(涙)
申し訳ないです…(泣)





何とか許してもらい、今は2人のんびりとイチャコラ中。

ソファに座る僕の膝の上に乗って読書するルルーシュ。

「ルル…」

「何だ」

「ヒマ」

「そうか」

「僕にも構って」

「今忙しい」

「本読んでるだけじゃないか」

「此れも必要な時間だ」

ルルーシュの細い腰に回していた手を動かそうとした時…

―コンコンッ

「開いてます」

―ガチャリ

入ってきた人物を見て驚いた。

「シュナイゼル殿下」

「どうしたんですか?兄上」

普通に言葉を放った筈。
だけど、シュナイゼル殿下の様子が可笑しい。






目が笑ってない






















「スザクくん?」

「ぁ、はい…」

「君は何をしているのかね?」

殿下、何をそんなに怒っているのですか?
額に青筋が…………。

「え?何って、何もしていませんが…」

「何もしていない、だと?」

や…怒ってる意味が分かりませんっ!
其れにシュナイゼル殿下、何時ものクールフェイスが物凄く崩れてますからっ!!(汗)
顔っ!!般若みたいになってますよっ!!!!(汗)

「兄上、用件がないなら出て行って下さい。物凄く邪魔なんです」

「邪魔…そんなにスザクくんとイチャイチャしたいのかい!?」

「…馬鹿な事言わないで下さい兄上…何処をどう見てイチャイチャしてる風に見えるんですか」

「スザクくんの膝の上に乗ってるじゃないか!」

「僕が膝を貸せと言っただけです。冷房で地面が冷たいから言ったまでなので変な勘違いしないで下さい」

ルルーシュは日頃靴下を履かない。
言ってる事は嘘じゃなく事実だ。革張りのソファもじかに座るのを嫌って、其れで僕を。
流石に2人きりじゃないと出来ないけどね…(汗)

「そうかv」

あ、顔が元に戻った…。

「で、用件は何ですか?」

「ルルーシュの顔が見たかっ」

「帰れボケ」

此の後も散々と言う程に冷たい言葉を浴せられ、シュナイゼル殿下は帰って行った。

そして、ルルーシュはバタンと読んでいた本を閉じ、小さく呟いた。

「何とかせねばな…」

「何が?」

「折角のオフだと言うのに…何で奴の顔を見なきゃならんのだ。虫酸がはしる…
スザク、俺を癒せ」

癒せ?僕がルルーシュを!?
普通逆じゃない…。

つか、え、え…狽ヲえっ!?

えっと、取り敢えず抱き締めてみた。
ルルーシュも首に腕を回して抱き着いて、こんな言葉を小さく言った。

「やはりスザクはいい」

「喜んでいいのかな…(汗)」

「当たり前だ。此の俺がいいと言ってるんだ、素直に喜べ!お前は体力しか取り柄のない馬鹿なんだぞ」

「…酷いよルル…」





















其の日、家にいるとまたもシュナイゼル殿下が顔を出すからルルーシュの機嫌は悪くなる一方で…(涙)

だから、寝る前に考えた提案をルルーシュに言うと物凄く賛成してくれて、急遽、ナイトメアでの航空ドライブが決定した。

冷蔵庫の件をロイドさんに言うと…

「此の僕に任せて下さいよ〜v」

なんて笑っていた。
ロイドさんだから、3日以内で造りそうだから其の時はルルーシュも喜んでくれるだろ。

「なぁスザク」

「ん?」

「有り難うな」

「ルルは僕の主人だから」

「主人なだけか?」

クスクスと笑っているルルーシュ。
僕は一旦ナイトメアを小さな小島に止めた。

「ルルだから…好きだよ」

「…v」

見つめ合い、ナイトメアの中でキスをした。

丁度夕日が沈む頃の事だった。
其れから夜まで航空ドライブを楽しんで家に帰る。




















後日の事だった。

何時ものようにルルーシュの部屋をノックしてノブに触った瞬間、

―ピッ

そんな機械音が鳴った。

「??」

前までこんな音鳴らなかったのに、と疑問に思いながら部屋に入る。

グッスリと眠るルルーシュの傍にあるテーブルの上にルルーシュ愛用のパソコンが開きっぱなしで置いてあり、覗いてみたら

―指紋照合システム

と記されていた…。

「……………ルル、此れは」

「…スザクか…」

ムクリと起き上がったルルーシュが僕が見ていたパソコンを見てクスリと笑った。

今日はやけにルルーシュの寝起きがいい…。

「オフの日に会いたくない奴だっているだろ?」

「まさか…ルル…」

昨日徹夜で作った、なんて言うんだ。

「以前、シュナイゼル兄上が邪魔しに来ただろ?あの日、ロイドに頼んでドアノブの所にセンサーを作ってくれと頼んでおいていたんだ。
其れが昨日出来たと言うから取り付けてもらったんだ。
指紋を集めるのに苦労した…」

だから此処2、3日紙に名前が書いてあったのか…。
其処に指紋が付いてた訳で、触ろうとしたら怒ったんだ…。

「じゃあ…さルル…」

「何だ?」

「指紋が照合しない人が開けようとしたら…?」

「もちろん、開かない。
最初は警報を鳴らそうとしたんだが、やはり其れは煩いだろうから止めたよ」

あぁ、そうか…。
あの航空ドライブの時に何とかせねばなって此の事だったんだ…。

言った事は必ずやらとげる。
ルルーシュは有言実行だよね。

此れはシュナイゼル殿下が入ってこない為のセンサーなんだ…。














暫くたった日の事…。

「今日もルルーシュは可愛いんだろうねv」

僕が偶々見掛けたシュナイゼル殿下。
そんな1人言を言ってるもんだから、気になって…!

後を付けた。
ルルーシュの部屋に行くのは言葉通りに分かってる事だから…。

案の定、シュナイゼル殿下はルルーシュの部屋に来た。

扉をノックして、ノブを掴んだ瞬間…

―ブー

と言う機械音の後、いきなりシュナイゼル殿下が立っていた床に穴が開き、

「…え?ああぁーーー…」

―ピシャ

シュナイゼル殿下は穴の中に落ちて、何事もなかったかのように床は元通りになっていた。

あぁ、シュナイゼル殿下って可哀相な人だな…。







End...

[ 1/9 ]
[*前へ] [next#]
[しおりを挟む]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -