黒ルル+黒ナナ2
「ルルーシューーー!!
ナナリーが変な男に襲われそうになってるよーーー!!!!」
思い切り叫んだ枢木 スザク。
もう其れは大声で。
だがカレンは思った。
こんな事でルルーシュが出てくる筈がない、と。
しかし、カレンは知らなかった。
ルルーシュにとってもナナリーがどんな存在なのか…。
「ナァァァアアニィイイイィィィーーー!?」
ほら出てきた。
勢いよく飛び込んできたルルーシュは仮面すら付けていない状態だった。
黒の騎士団の団員たちはゼロが着ている服を着た、今まで見た事のないような美貌を持った人物がナナリーに近寄ってくる其の様を見て目を見開いていた。
―ゼロがお兄様!?
―だって、此の子新しく総督になった…
―そんなっ―ゼロが皇族だったなんて…
ゼロの素性を知った団員たちは唖然としていた。
ゼロがこんなにも若く、其れにブリタニアの皇子だと言う事に…。
「其の手を切り落とされたいのか!玉城!!」
ドン、と玉城を突飛ばし、ルルーシュはナナリーの手をガッシリと握った。
「ナナリー!!
大丈夫だったか!?
怪我は!?怪我はしてないか!?」
「はい、お兄様が来て下さったので大丈夫ですv」
にっこりと笑っているナナリーにルルーシュは優しく微笑んだ。
1年もの間、ナナリーの記憶を消された恨みはまだ捨てていなかった。
当たり前だ。
ルルーシュにとってナナリーはどんな存在よりも遥かに大切なのだから。
「…あぁ俺の可愛いナナリー!」
抱き着いたルルーシュを優しく受け止め、ナナリーはルルーシュの背中に腕を回す。
「まぁお兄様ったら、見ない間に少し甘えん坊さんになりましたか?」
「ナナリー…すまないっ!!
またあの男に、利用されて…」
「お兄様、そんな事はどうでもいいんです」
今度はナナリーがしっかりとルルーシュの手を握り締めた。
「ナナリー…?」
「一番残念なのは、お兄様が私の傍にいない事なんです…」
そんな言葉を聞いたらもうルルーシュは感極まり、ホロホロと泣き出していた。
「ゴ、メ…ナナリーっ
俺がもっと、しっかりしてたら…!
ナナリーにもこんな目に合わ…なかった…は、ずっ…なのに!!!!」
「お兄様は私にとって一番頼りになる人です。
後ろめたような言葉は言わないで下さい」
にっこりと笑って、ナナリーはルルーシュの顔を見る。
「其れで、お兄様」
「?」
「ブリタニアに戻ってきてはくれませんか?」
「「「狽ネっ!?」」」
「お父様は、お兄様を連れて戻ってくるようにと」
恐喝的な脅し方で無理矢理ね。byS←
「お兄様の継承権もコーネリアお姉様の次にやってくれるそうです」
「(そんな話、聞いてませんけどーーー!?)」
「ナナリーは…ブリタニアに帰ってきて欲しいかい?」
「はい。
其の方がお兄様に危険な目に合わさずに済みますから」
ナナリーの本音。
ブリタニアは憎いけど、ブリタニアに帰ってきたらゼロなんて危ない事をしなくて済む。
ナイトメアに乗らなくて済む。
敵にならなくて、済む。
「お兄様に何かあったら、私は…」
「ナナリー…」
「ま、待ってナナリーちゃん!!」
「何ですか?カレンさん」
「ルルーシュをブリタニアに連れて帰るって…
じゃあ、ゼロは?
黒の騎士団は?
日本解放はどうなるの!?」
「カレン、其れは俺が何とかするさ」
ナナリーの手を握るルルーシュはとても穏やかな表情をしている。
ナナリーが自分を必要としてくれる事が嬉しいのだ。
ゼロを否定する事もなく、ただ傍にいない事を寂しく思ってくれている。
「姉上は第2皇女だ。
其れなりの地位も権力もある。
継承位が姉上の次になれば、俺も動き易い」
―あぁ…ナナリーは何て恐い子なんだろう… byS←
「では、戻ってきて下さいますか?」
「嗚呼。
ナナリーの為に…
帰ったらあの偽バッハに文句言ってやる。
俺の可愛いナナリーとの記憶を全て消しやがって…
絶対許さん!!」
「私もお手伝いしますわv」
「有り難う、ナナリー」
にっこりと笑い合う此の兄弟を見て、枢木 スザクだけが恐怖を感じていた。
ブリタニアへとまた帰ってくるなんて。
ナナリーが帰ってきて欲しい、そう言ったから。
傍ににいて欲しい、と。
だから、また此の男の前なんかに…。
ルルーシュは其の目の前にいる男を睨み付けていた。
「お父様?」
にっこりと笑って。
「ナ、ナリー、よくルルーシュを連れてきてくれたなっ」
「何言っているのですか?」
「へ…?(汗)」
「お兄様が帰ってきて下さったのですよ?
お兄様に何か言う事はないのですか?」
「え、ああ…今まですまんかった…」
「もう少し心を込めたらどうだ?」
ルルーシュは睨み付けながらそう言った。
其れはもう、ルルーシュも
怒っているのだから
「今までの事をたった其れだけの言葉で済まそうと言う貴様の神経を疑うな。
そんな軽い言葉1つで俺が許すと思っていたのか?甘いな…
貴様はやってはいけない事を、今までに何回としてきたんだぞ?
其れを、すまんかったの一言で終わらそうとするのか?
母上が殺された時、自分の妻であったのにも関わらず興味ないと言わんばかりな顔して、俺たち兄弟を日本へ送っておきながら、攻め入って…」
ギロリと睨まれた皇帝は枢木 スザク同様ダラダラと汗を流しながら青ざめていた。
「もし其処で俺とナナリーが死んでいたらどうするつもりだったんだ?
ろくに捜しもしないで勝手に死んだと発表しやがって。
お陰で俺とナナリーがどんな環境でどんな想いで今まで生きてきたか、貴様に味わせてやろうか?
其の足を不能にした後、目も失明させて日本へ送り込んでやるさ。
嗚呼、そうなったらきっと1日として貴様の命はないだろうな…」
―兄妹揃って黒いとか、ありですか…?byS←
「母上の事もナナリーの事も、あれだけ侮辱しておいてそんな軽い言葉で許されると本気で思っているのか?
俺やナナリーがそんな言葉1つで許す筈がないだろう…バカが!!」
「そうですよ能無し。
お兄様をあんな目にあわすなんて、ねぇ…v」
まだナナリーの怒りは収まっていなかったらしい…。
「本当にすいませんでしたーーーっ!!!!!!」
意を決して、皇帝陛下、実の息子娘に対しての土下座をした。
其れから始まった恨み辛み。
ルルーシュとナナリーの2人によりもうボロクソに言われ、しかし言い返せないのだ。
「ねぇお父様?」
「な、何だ?ナナリー(汗)」
「お兄様の継承権をコーネリアお姉様の次にして下さる件ですが」
「え…(汗)」
皇帝は固まった。
だって、そんな話、なかったのだから。
「いや、言っては…(汗)」
「言いましたよね?(黒)」
「い、言いました!(泣)」
枢木 スザクは思った。
此の兄妹を敵に回したらいけない、と。
皇帝をロールケーキだの偽バッハなどと…似てはいるけども…。←
其れに有無言わせる事もなく、上から押さえ付けるような物言い。
きっと、此の兄妹にしかなせぬ技。
逆らおうなどと、誰が思うのだろうか…。
此の皇帝ですらそんな事此れっぽっちも考えて、いや考えられないのに…。
「取り敢えず、お兄様をエリア11の総督にして下さい。
私は副総督です」
「…分かった(汗)」
改めて思った。
此の兄妹を、敵に回すのではなかったと、あの時ちゃんと対処していれば、と。
しかし、時は既に遅し。
ヴィ兄妹は目の前のあの男、皇帝に対して物凄く怒りを感じて今にも殺されそうな勢いだ。
「あぁ、そうだロールケーキ」
「何ですか!」
「欲しいモノがあってな」
「欲しい、モノ…(汗)」
「名前だ」
「…え?」
「エリア11の名前が欲しいんだ。
エリア11なんて止めて、日本にしろ」
お願いと言う名の命令だった。
其れに頷くしか術のない皇帝を、黙って見守るしか出来ないスザクだった。
自分に向かないだけ、マシ。
其れが自分に向くような事があれば、もう尋常じゃない程の苦痛が待っている。
生きた心地がしない、と言う。
「さぁお兄さま。
久しぶりに離宮へ行きませんか?」
「そうだな」
「…枢木」
「何ですか…」
「お前、結構苦労しただろう…」
「はは…分かります…?」
End...
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