パニック!!

 
「…七海」

モノクロにしたのは気分だった。
2人で一緒に行った海ではしゃいでた七海が可愛くて、こっそり撮ってたヤツ。

「隣に決定だな」

親子で並ぶのも悪くないしね。

さて、食事の用意でもと思っていた矢先、モジャリンコが帰宅。

「なぁなぁ響!一緒に飯食べに行こうぜ!」

「え、今日は約束が…」

「其奴らも一緒に食べればいいじゃん!」

久しぶりの宇宙人節に半ば無理矢理に一緒に食堂へと駆り出されてしまった俺。
取り敢えずカメラも持って行く事にして、花邑隊長さんに連絡を入れた。

食堂に着くや否や、好奇な視線が注がれた。

「ちょっと!見てよアレ!」
「三枝…?」
「…どうしてあんな奴と」
「超不細工だし!」
「腕組んでるし!」

うわぁ…見られてる見られてる…(汗)

「なぁ響!俊也も呼んであるんだ!」

「…え」

マジでか?!
ちょ、え、えええ!?

口元はにぃと緩んでいた。

羽鳥くんと一緒に夕飯なんて…。
大丈夫なんだろうか…

「あ、来た来た!」

ワーワーキャーキャーとまるで芸能人のようにやってくる羽鳥くん。
モジャリンコを見つけると、側にやってきてやんわりと微笑んだ。

「萢流」

モジャリンコにホの字な羽鳥くんは緩んだと思ったのに、俺を見た瞬間ギロリと睨んでくる。

「…まだ萢流に付き纏ってんスか?」

勘違いしないで欲しいよね。
付き纏ってないから。
モジャリンコに無理矢理だから。

「コラ俊也!響を睨むなよ!
響は俺の友達なんだぞ!?」

「…チッ」

アハハ…いやいや、俺は此のモジャリンコをどうこうするつもりは更々ないから安心してくれ。

妙な雰囲気が流れながら、モジャリンコと羽鳥くんは注文を終えて何故かイチャイチャし始める。
周りは其のイチャイチャぶりにコソコソと罵声を飛ばしていた。

俺は其れをスルーしながら料理がくるのを待っていると…

「三枝?」

「…久佐凪隊長さん、こんばんは」

「こんばんは。三枝が食堂なんて珍しいね?来るなら誘えばよかったよ」

ふんわりと笑った久佐凪隊長さんを見て、少し癒された。
 
「今日は中田くんに連れてこられて…」

「響!此の綺麗な奴誰だよ!」

―ピキッ

「三枝、此の躾のなってないの何?」

「アハ、ハ…えっと、同室者の中田くん…」

久佐凪隊長さんは言葉使いに厳しい人だ。
しかもモジャリンコが1年と分かったら尚、悪い。

「嗚呼、あの転校生か…」

「お前失礼な奴だな!
俺は転校生じゃない!中田 萢流って言うんだ!」

「だから?
君は初対面に指を差すのは失礼に値しないって言うの?
しかも君は1年生で僕は2年。其の先輩に対しての言葉遣いがまずなってない」

「何だよ!先輩先輩って!
そんなの関係ないだろ!?」

「関係あるから言ってるんだけど?其れも分からない程君は馬鹿なの?」

「狽ネっ何だと!?」

何でそう物凄く喧嘩腰なんだモジャリンコ!
やっぱり分かってなかったじゃんか…。

此れはヤバいな…。
モジャリンコにホの字の羽鳥くんも苛々し始めてて、今にも食ってかかってきそうだし!

止めなきゃ、と思っていたらまた新たな人物が現れた。

「何揉めてんの?」

「神谷隊長さん…」

「久佐凪くんが怒るのって珍しいよね」

クスクス笑ってる場合じゃないんだよ。

溜息を付いて俺は久佐凪隊長さんの頭を撫でた。

「…三枝」

「落ち着いてよ」

「久佐凪くん狡い!響くん僕も!」

今の状況分かってんのかな…?
とか思いつつも神谷隊長さんの頭も撫でた後、

「中田くんも其処まで。
前に俺が言った事忘れてるよ?
相手に不快な思いをさせたら駄目だって。
そうゆう時はどうするんだったか?」

「う゛…ごめん」

「なさい」

「ごめん、なさい…」

「ん、いい子」

しゅん、となったモジャリンコを見てくすり、と笑いながら頭を撫でてやる。

するとすぐさま顔を手で覆われた。

「…?」

「無闇に笑ったらだめだよ三枝」

「そうそう!」

どうして?と思っていたらまた食堂が騒がしくなった。

「…生徒会がきた?」

「違…」

「響さまーーーー!!」

…花邑隊長さんだったみたい。
俺をさま呼びする物好きはあの人しかいないから…。
 

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