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【律Side】
一目惚れだったんだ。
襲われそうになってた僕は怖くて身動き出来なくて、ボロボロ泣いてた。
『ゃ…だっ』
『怯えちゃって可愛いーねー』
『怖くなんかないよ?今からするのは気持ちいい事だから』
高等部に入って間もなかった僕は、何も知らなさ過ぎた。
こんな風にレイプ未遂事件が後を絶たないって事が。
「まさに今襲われるって、時に会長さまが現れてくれて其の人たちを追い払ってくれて…
は、初めてだったんだ…
人に助けてもらったのは//」
僕がそう言うと、三枝は優しい顔になった。
「会長の事本当に好きなんだ?」
「あ、当たり前だろ!//」
「いいなそうゆうの。
其の人の為なら何でもしたいって思えるし」
「…」
何を言ってるんだろう。
三枝だってそう思える人くらい、出来る筈なのに…。
三枝を見て、僕は胸を締め付けられた気分だった。
「人を好きになるのって、凄い事だよな…」
だって、三枝の顔が…
「三枝…」
「会長を想ってる副隊長さんは幸せだよ」
あまりにも、辛そうに笑ってたから…。
「…」
何か辛い事でも思い出させてしまったんだろうか…?
そう思うと、ズキンと胸が痛んだ。
「ごめん…」
「何で副隊長さんが謝るんだよ?」
「…」
「親衛隊とか抜きにして、チャンスがあるならちゃんと自分の気持ちを素直に伝えた方がいい。
じゃないと、きっと後悔するよ?フラれたっていいじゃん」
三枝は凄いな、と実感した。
此の学園でちゃんとした自分の考えを持ってる三枝を。
平凡のクセにと思ってた僕が馬鹿だったみたいだ。
僕なんか、好きな人の親衛隊に入っても自分の考え通りに発言も行動もした事がない。
其れは、決められたルールがあるから。
其の決められたルールの中で発言と行動をしてきた僕に、そんな発言をするから…。
「律ーーーー!何響さまといい感じになってるのー!?」
「花邑さま!?いえ此れは違うんです!」
「何が違うの!?」
「隊長さん何怒ってんの…」
「響さまーー!」
僕も三枝のように自由にしていたら、少しは違っていたのかな…。
【響Side】
隊長さんが買ってきてくれたジュースを有り難く頂いた。
そしてさっき話してた夕食の件を話すと隊長さんと副隊長さんは快くOKをもらった。
転校生と同室で、もしかしたら会長たちがくるかもしれないと伝えれば、気にしないと言ってくれた。
気にしないって、会長の親衛隊なのにね…。
嬉しくないんだろうか…?
そんなこんなで夕食は一緒に食べる事になった。
隊長さんたちが来て作るのはいいけど、会長たちがきたらどうなるんだろう…。
授業も終わって寮に戻ってきた俺はスーパーと呼んでもいいようなコンビニに足を運んで食材を購入した。
「…悪いクセだな此れは」
今日食べないものも、つい買ってしまって…。
反省しつつ、部屋に入れば…
「よかった…いない」
冷蔵庫にモノをしまう。
時刻は夕方の4時過ぎ。
「光に電話しょう」
昨日、光と約束したから。
今日電話しなかったら光に何て言われるか…。
『はい三枝です』
「あ、母さん?響だけど」
『あら響。もう学校は終わったの?』
「うん今寮。今から夕飯の支度する所」
『そう、あ、光ちゃん!ととから電話よー』
光に代わると、受話器から元気な声が聞こえてくる。
『とととあーちゃんのヤクソク!』
「嗚呼、約束したからな」
『とと…今度何時会えるの?』
「そうだなぁ…」
もうそろそろ文化祭が始まる。
文化祭は3日間だけど最終日は一般公開もしており、生徒の親や友達らが男女関係なく訪問出来る事になってる。
「今度ととの学校に遊びに来るか?」
『行ってもいーの?』
「嗚呼、いいよ。ジージたちと一緒においで」
『…うん!あーちゃんととのガッコ行く!』
「楽しみ待ってるよ」
其れから15分程他愛のない話をして電話を切ってからパソを見てみる。
親父からのメールが来てて、中身はもちろん光の写真だった。
「可愛いなぁ」
実家で飼ってるゴールデンと一緒に昼寝してる所だった。
其の写真をプリントアウトして、額に入れた。
「飾るならリビングだよな」
そして、リビングに戻ると一番存在感のある写真に目を向ける。
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