帰還とコンタクト
「あ!」
ゲームスタート地点でキルアの帰りを待つ俺たち。
「お帰りキルア!」
戻ってきたキルアの姿を見つけると、ゴンはキルアに駆け寄った。
「早かったね!」
「もち!速攻合格。試験より帰ってくる方が時間かかったし。ま、でも楽勝楽勝!」
イエーイとハイタッチする2人が何とも微笑ましい。
友情ってのは悪くない。
「さて、喜んでる所悪いんだけどさ、スペルカードを見て頂戴よ」
ブック、と唱えたビスケにゴンとキルアが駆け寄る。
「おー、すっげーいっぱいじゃん」
「ふっふーん」
キルアがいない時、ビスケと一緒に修行しながらカード、主にスペルカードをゲットしていた。
「で、どれか使ってみたか?」
「其れが、ブラックアウトカーテンだけ使ったけど、後よく分かんなくて」
窃盗、透視を1回だけ防いでくれると言うモノ。
「其れに、キルアが帰ってからでも遅くないって鹿丸が言ったんだ」
「…」
「聞くより見た方が分かり易いモノもあるだろ」
先に慣れてもいいが、やはり同じチームとして一緒に行動してるならスペルカードも同じように理解すれば後腐れなく出来ると思っていた。
「ま、そーだな。折角あるんだし、ガンガン使おうぜ?慣れとかないといざって時には使えないだろ」
「其れもそうだわね」
「取り敢えず、此れ使ってみろよ」
キルアはバインダーの中から一枚のカードを手に取った。
其れをゴンへ渡す。
「ん…コンタクト?」
「おぅ、ゲーム内で会った相手と3分間話が出来るんだと。今まで何人くらいに会ったかチェックしてみようぜ」
「じゃあ、コンタクト、オン!」
カードが光を放ち、バインダーに名前がズラリと現れる。
「どれどれ?お、結構いるなぁ……っ!」
キルアの顔が強張った。
「おい、ゴン…一体何時此奴と会ったんだ…」
バインダーの中を見てみると、其処にはいては可笑しい奴の名前が記されていた。
「………クロロ・ルシルフル…!
会ってないよ!ゲームの中でクロロとなんか!」
「ん?!何の話!?誰?クロロって!」
「そうだよな。第一、念使えない奴が此処にいる筈がねぇし」
「じゃあ、お互いニアミスしたかあっだけ先に気付いたか…」
キルアの言葉に俺と鹿丸が首を横に振る。
「其れは有り得ないだろ」
「いたら俺らが気付くって」
現実でもゲーム内でも、気配は同じ。無数にある気配の中から探し出すのは俺らにとって簡単な事だ。
でも、一度としてクロロの気配を感じた事はなかった。
あの仲間の蜘蛛の連中も。
此の島がどれ程の大きさにもよるが、俺も鹿丸の範囲内に入ればすぐ察知できる。
「そうだよね。其れに彼奴はクラピカに念を封じられてるんだから」
「だから!クラピカって誰よ!」
「だよなぁ…念を使わなきゃゲーム内に入れないんだから…じゃあ、後考えられるのは…」
「んーっ!アタシも混ぜなさーーーい!」
ゴンとキルアがビスケの拳により吹っ飛んだ。
因みに俺と鹿丸は回避。
でも、此処現実世界だし、来れない筈はないか。
シャルナークだっけ?彼奴は頭よさそうだから気付きそうだな。
だけどゲーム作った連中が其れを許す訳ないし。
「あるわよ?敵の念能力を外す方法」
「本当!?」
「当然よ。敵にかける念があるんだから外す念があっても不思議じゃないでしょ?」
「まぁね…」
「除念って言われる能力よ。でも此の能力を使える人は極少ないわよ」
除念か…。
「って事は、クラピカの念が外されたって事か?」
「其れも有り得ないだろ」
「どうして?」
「念はかけた本人が一番察知出来る。
俺のグラウと同じで能力が消滅した場合、いち早く俺が気付く。其れと同じでクロロの念が外れたらクラピカが気付くし、俺たちに何かしらの連絡は寄越す筈だ」
クロロとやり合ってる間柄なんだ。
注意を促す程度だろうが。
「…だよな…クラピカには一応連絡しておいた方がいいよな?」
「そうだね」
「よし、もう一回行ってくる」
「スペルカード使えるよ?」
「とっとけよ。4時間もあれば戻れるから」
「待てキルア」
「?鳴門??」
「分身に連絡させるから行かなくていい」
クラピカの番号は控えてある。
電話でなら、すぐやり取りできるから。
「んなら、お言葉に甘えようかな!」
俺は分身に其の事を伝える。
「連絡付いたらまた知らせてくるだろ」
きっとクロロはまだ除念してない。
ハンターが集まる此のグリードアイランドで其の除念能力を使える奴を探してるんだ。
だからわざわざバッテラからうちの1つのグリードアイランドなんかを彼奴らが奪った。
悪名高い幻影旅団がこんなゲームに参加する事自体レアだっての。
奴らがゲームをするにあたり、クリア目的ではない事は確か。
地道に、ってのは彼奴らにとって苦痛でしかないだろ。
ましてやプレイヤーから奪うも、此処何年と未だクリアしたプレイヤーもいない。
どの道、地道ってのは捨てきれないからな。
「クラピカと連絡がついたようだぞ」
「「何て言ってる!?」」
「クロロのにかけられた念はまだ外されてないみたいだ。
俺が言ったように念が外れたらすぐ分かるんだと」
「そっか…」
「じゃあ、此奴は…………」
自然と向けられた、クロロ・ルシルフルの名前。
「蜘蛛の誰かか、其れとも興味本位に付けた偽名か。
どちらにせよ会っておく必要はあるな」
「だな。其奴が誰でも一応はな」
「アンタなんでそんな事分かるのよ!」
「………」
あー、そういやぁビスケは知らなかったな、分身の事諸々。
「…はぁ、何でだろうな」
「教えなさいよー!」
取り敢えず、此のクロロの正体を突き止めるのが先か…?
其れとも、まだ修行??
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