ノマ一護←藍染

 

虫の音も聞こえない静かな夜だった。

「……」

そんな中、虚圏にある虚夜宮の中の部屋にいた、1人の少年が大きなベッドで眠っていた。

名は黒崎 一護。

つい最近、朽木 ルキアを助けに尸魂界に入り敵と見做され護廷十三番隊の隊長、副隊長たちと戦っていた。

ルキアを助けるのに一心不乱に戦っていた筈が、何故か死神だった藍染 惣右介を始めとする隊長格3人が尸魂界を裏切った。

ルキアの体内にあった崩玉を奪い、虚を手を組み、犯罪者となった。

藍染 惣右介は奪った崩玉でギリアン級よりも強力なヴァストローデ級と言う人の型をした破面を造り上げ、一護は破面の中でもより優れた十刃、bUのグリムジョー・ジャガージャックと戦っていた筈なのに、其れなのに何故、虚夜宮の中に自分がいるのかが分からなかった…。

目が覚めたら、真っ白な殺風景な物凄く広い部屋の中のベッドの上だった。

「此処は…」

高い天井と睨めっこして数分、漸く自分が置かれている状況を目の当たりにした。

はっ、と思い出したように上半身を勢いよく起こしてみると…

「…何、此れ…」

白をメインにした藍染 惣右介や十刃が着ていたあの白い死覇装に着替えさせられていた。

「もしかして…此処って虚夜宮の、中…?」

ベッドから抜け出して、部屋のドアに近付いた。
ノブを握り、ドアを開けると鍵もかかっていなくて、すんなりと部屋から抜け出せた。

「暗い…」

霊圧を消して、何の宛てもなく歩き出す。
廊下は何もない。
真っ直ぐな道が続いてて、キョロキョロと辺りを見渡しながら進むと、1つの扉が目の前に現れた。

「入ってみよう、かな…」

扉を開けて、中に入る。
すると、一護の目に入ってきたのはただっ広い大きな石柱と椅子だけ。

「………凄い…」

まるでアートみたい。
そう一護は思った。

アートなんて全然興味もない筈なのに…。

「……」

魅入るように一護は其処に立ち止まり、此の空間を眺めていた。
何時誰が現れるかも分からない虚夜宮の中で、何故か一護は動かずに…。

「………俺、何で此処にいるんだろ……」

小さく呟いた。
そうだ。
グリムジョー・ジャガージャックと戦ってた筈じゃ、そう思い返す。

「もしかして、また…負け、た…?」

一護が1人考え事をしていると…

「あれ、一護ちゃんやないの?どないしたん?こないな時間に…」

「…えっと……」

「市丸 ギンや。ギンでえぇよ。一護ちゃん」

「…ギン?」

「そや」

にっこり笑うギン。
戦闘になるような雰囲気じゃなく、一護は内心胸を撫で下ろす。

「で、どないしたん?」

「…ぇ…」

「こないな時間にうろうろしとると、誰かさんに構われてまうよ?」

例えば、ウルちゃんやグリちゃんとか?とクスクス笑いながらギンは言う。

「俺…」

「ん?」

「どうして此処にいるんだろ…捕虜、なの?」

「どうしてって、そら藍染はんの命令でグリちゃんが一護ちゃんを連れてきたからやないの。
無理矢理、な。でも、捕虜とはちぃと違うな」

グリムジョーとの戦いの末、ボロボロに負けた一護は無理矢理連れて来られたのだ。

「無理、矢理…?……捕虜じゃ、ない…」

「一護ちゃん…?」

本心では、早く帰りたい、皆に会いたい…そう思ってるのに、体が動いてくれない…。

「……敵の本拠地なのに、何でだろう。此の場所は…静かで、好き…」

無理矢理連れ去られた敵の本拠地なのに、何故が落ち着いてる一護がいた…。
其れが不思議で不思議で堪らなかった。

「気に入ってくれたん?
そら藍染はんも喜ばはるよ」

「…ねぇ、ギン」

「何や?」

ちょっとした疑問が頭に浮かんだ。

「何で俺だったんだ?
そんなに強くないし、其れに死神でもなくて人間なのに…」

「其れはな、君自身に魅力があるからや。
君やないと駄目なんよ、君やないと意味があらへん」

…何で、俺じゃないと意味がないんだろう…、そう一護が思うのも無理はない。

一護は人間。
普通の人間よりも霊感が強くて、特別な力を持っただけ。
其れだけの人間なだけ。

敵対している敵のアジトに、捕われて連れて来られた。
其れを考えると、一護はこう思わざるをえなかった。

「殺されちゃうのかな…」

敵同士、そう考えるのも無理はない。
捕虜だとも先程考えていたから…。

だが…

「そんな事はない。君が思ってる程、君は弱ないし君は凄く綺麗で魅力たっぷりやもん」

「え、魅りょ…く…?綺麗って…俺、男なんだけど…」

「そんなん関係あらへんよ。
愛語るんに年齢も性別もいらんやろ?」

「そう、だけど…てか、愛って…?」

魅力云々言われたら、言い返す言葉が見つからなかった。
其れより一護が気になるのは、愛と言う単語だった。
何故、今其れが出て来るのか一護には全く分からない事だった。

「藍染はんはね、一護ちゃんの事好きなんやて」

「…………………は?」

目が点になった。
藍染 惣右介が、一護を好き…?
お間抜けな顔になった一護を見てクスクス笑うギンだけれども、一護は信じられないと言うぐらいに唖然としている。

「いや、は?やなくて、好きらしいよ?ま、僕かて一護ちゃん好きやけど、藍染はんはホンマに一護ちゃんの事好き言うてたもん」

真面目な顔じゃないが、そう言ったギンを見て、一護の顔はみるみるうちに赤くなっていった。

「……………/////」

「顔、真っ赤やで?可愛ぇなぁv」

「か、からかうなって!!/////」

「からかうなんてしぃへんて。其れにしても、一護ちゃんがこない初やったなんてな?
めっちゃ可愛ええなv」

ツンツンと頬を突っつくギン。

「止めろよ!可愛くねぇッ!!/////」

そんな中、急に物凄い霊圧を感知した。
其の瞬間、ギンの眉間にシワが寄った。

「わ、魔王さまが来たで…」

「誰が魔王だって?ギン」

「そら、藍ぜ……ッ!…またな一護ちゃん!(苦笑)」

言葉を途中で区切り、玉座に現れた藍染の顔を見るな否や、ギンは片手を上げ、姿を消した。

「あ、逃げた……」

「全く。目を離したら何をするか分かったものじゃないね、ギンは…」

「狽チ………/////」

玉座に藍染と一護、2人きり。
先程の話で、藍染が一護の事が好きとギンから聞いていた一護は、藍染の顔を見た瞬間、顔を赤くさせていた。

「一護くん、こんな夜中に城の中を出歩くのは危険だよ?
無理矢理連れてきたとは言え、十刃に出くわしたりでもしたら、ね?」

「え、あ…ご、ごめんなさい…///////」

何故か恥ずかしくて一護は俯いた。
すると、一護の肩に藍染の手が触れた。
其の瞬間、ビク、と体が跳ね一護は顔を上げると目の前に藍染の顔が。

「どうしたんだい?顔が赤いが、ギンに何かされたかい?」

「な…何、もされて…ない…///////」

「そうかい?其れならいいんだよ」

そう言って藍染は一護を見つめた侭、ニコリと笑っていた。

「あ、の………//////」

「何だい?」

「さっき、ギンから聞いたんです、けど……//////」

「そんな構えなくてもいいよ。
普通に話してごらん?」

「え、あ……藍染さんが、お、俺の事……………す、好きって………//////////」

カァ、と耳まで真っ赤にさせながら一護は藍染にそう告げた。
すると、藍染は一護の手を取り引き寄せて抱き締めた。

「え…ちょッ…あ…あの、藍染…さんッ?!//////////」

「そうだよ。私は初めて君を見た瞬間から、君に惹かれていたんだ。
ずっと君を…」

藍染はゆっくりと一護に顔を近付ける。
そして、チュ、と音をさせ額に口付けを落とした。

「…あっ…〜〜〜〜ッッ////////」

「此の腕に閉じ込めたかった」

愛の告白…?
一護も馬鹿ではない。
此の状況でそんな事言われたら、冗談じゃない事ぐらい理解出来る。

「急、に…そんな事言われ、ても…ッ/////////」

「嗚呼、そうだったね…君にそんな事言っても、迷惑なだけだね…」

「狽ネッ…迷惑、じゃなくて…ただ、ビックリしたって言うか…////////////」

そもそも、捕虜だとか殺されるだとか思っていたのに、実際は藍染 惣右介に好きだとか言われて頭がパニックになっている。

好きだと言われて、顔を真っ赤に染めるなど…。

「可愛いんだね、君は…」

「狽ゥっ…可愛くなんかッ…///////////」

「否、可愛いよ」

そう言って藍染は、一護の顎を掴み上を向かせた。

「狽ヲ、?ちょッ…藍染さ…んンーーッ!?/////////」

重なった唇。
そして、藍染は一護の腰に回していた腕に少し力を入れた。

ギュッ、と瞼を閉じて一護は藍染の白い死覇装を掴む事しか出来なかった。

「ちょ…ん、ぁ…ゃ…ンッ/////////」

何時の間にか侵入をしてる舌に一護の其れが絡められていた。

「んンッ…ふぁ…あ…//////////」

ガクガクと震えた足に力が入らなくなってきた一護を支えるのは藍染の腕。

そして、唇を離すと、潤んだ目は虚ろで…

「藍、染…さ…/////////」

「好きだよ、一護」

すると、何かの呪文のように、一護は其の侭ゆっくりと瞼を閉じた。

「一護」

呟きながら再び唇にキスをした。

そして、一護の体を抱き抱え、藍染は玉座の間から姿を消した。






















「ん………」

目を開けると、また同じ白い天井。

「一護」

「…あ、惣右介さん」

「お早う」

「お早う」

ベッドから抜け出して、藍染に近付き抱き着いた。

そして、額にキスをされほんのりと頬を染める一護がいた。

「好きだよ一護…」

「ぉ……俺、も/////」

「朝からラブラブの所、お邪魔すんません藍染はん」

「………本当だよ。で、何か用かい?ギン」

「朝ご飯、用意出来たから呼んでこいて要に言われましてな」

にっこり笑ってギンはそう言った。

「朝ご飯…?」

「そうや。食べへんの?」

「食べるッ!惣右介さん行こう!」

パァ、と喜を表した表情になり、一護は藍染の腕を掴んだ。

「そんなに焦らなくてもいいんだよ。
其れより一護、早く着替えなさい」

「はぁい」

一護は部屋の奥に入って行った。

「藍染はん、えらい変わり様やね一護ちゃん。効き過ぎとちゃいます?」

「否、そんな事ないよ」

一護の入って行った方向を見て、藍染は口端をゆっくり持ち上げた。

「彼が手に入るなら、私は何だってするよ…」

「鬼ィ…悪魔ァ…」

「何とでも。嗚呼、でも…楽しみだ」
























早く、私色に染め上げたい…






















奥から出てきた一護は白い死覇装を来て藍染の元に駆け寄ると、先程と同じように、腕を掴んだ。

「惣右介さん、早くご飯!」

「分かったから、急がなくても逃げないよ」




















今の彼を見て、死神どもはどんな顔をするのだろうか…?























嗚呼、本当に楽しみだ…。







End...

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