nearly equal

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氷菓

「アイス買ってきた」

差し出された棒つきアイスを遠慮なく頂いて躊躇いなく口に押し込む。ラムネ味の氷菓はリンの口内を一気に冷やし潤してくれた。

蝉が喧しく鳴き叫ぶ畔道でどうにか見つけた木陰だったが、気温三十度を超える真夏日に木陰に入ったから涼しいなんて事がある筈はない。直射日光に当たらないだけましだけれど、暑いものは暑いのだ。

「我慢して五分も歩けばコンビニあんだからそこまで歩けばいいだろ。クーラー効いてるし涼しいのに」
「その五分で俺は熱射病で死ねる自信があル」
「我が儘!」
「あー…アイスもエドワードもでろでロ…」
「誰のせいだ!炎天下をアイス買いにパシらせやがって!」

お日様色の髪の少年はリンより暑さに耐久がある。それでも額や首から滝のように流れる汗を拭い、左手に持ったビニール袋からアイスをもうひとつ取り出し、熱をもったように赤く色付いた唇でかぷりとかじり付く。

「あちー…、うめー…」
「…エドワードのアイスちょうだイ」
「なんだよ、もう食っちまったのか」

ほら、と口元に差し出されたアイスを舌先でべろりと舐め上げた。勢いでミルク味の飛沫がエドワードの指に一滴飛ぶ。
暫く無言で、エドワードが突き付けるアイスを舌先で弄ぶように舐める。時々エドワードの様子を伺うと、眉間に深い縦皺を刻んでリンの口元を、リンの舌先で弄ばれているアイスを見ていた。

すっぽりと口に含み、軽く歯を立てる。丸く抉るように括れを作りながら、そこから先端へと緩やかな膨らみを作るように舌を滑らせる。
頭に思い描くそれを唇と舌先の感覚だけで再現する作業。
一昨日も、昨夜も同じように口にしていたから、それは然程難しい事ではなかった。

白い雫が零れてしまわないように、柔らかくとろけ始めたそれを根元から舐め上げて、リンは漸くエドワードのアイスから口を離した。


「…出来タ」
「…作るな…」

ちゅっと音をたててリンの唇から出てきたアイスを見て、エドワードは顔を酷くしかめた。

「最高傑作」
「いらん、もういらんこんなもの」
「えぇ〜、ペロペロ美味しそうに食べてよエドワード」
「この、へ、ん、た、いっ!」

耐えられなくなったように叫んで、エドワードがアイスを一気に口に含み食いちぎった。それを見せられて痛いと思ってしまうのは男の性だ。リンは思わず悲鳴を上げてしまった。

「エドワードさんが食いちぎられタ!」
「うるせぇ!この変質者っ!」

口元を白く汚しながら睨まれて、またよからぬ妄想が脳裏に浮かんだが言わなかった。


今夜は口でのおねだりは控えないと、本当に食いちぎられてしまいそう。
怒ってコンビニの方向に走って行ってしまったエドワードを追い、リンも木陰を出て歩き出した。

蝉の鳴き声に混じってヒグラシが鳴き始めていた。もう少しすれば、日も落ちて涼しくなるだろう。そうしたら昼間暑いからと拒まれて触れられなかった肌に、目一杯触れて味わってやるのだ。


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