nearly equal

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winter flower 3






「あぁ、始まったね」

俯いた視界が昼間のように明るくなり、エドワードは慌てて顔を上げた。
鼓膜を揺らす爆音と赤、青、白、金色の光。

まるでアルフォンスの瞳の色のようだと、エドワードは無心に花火に見入った。



「 」

アルフォンスに肩を叩かれて横を見上げると、アルフォンスの顔がすぐ近くにあった。

「 」

何か言っていたが、連続で打ち上げられる花火の破裂音にかき消されてアルフォンスの声は聞こえない。
聞こえない、とエドワードが言うのもきっとアルフォンスには聞こえないのだろう。



エドワードの中に悪戯心が芽生えた。

「好きだよ、アル」

聞こえないならと思い言ってみたら、少しだけ胸が暖かくなった。

「 」

聞こえない、といった顔でアルフォンスが首を傾げるのが可愛くて、エドワードは笑顔を浮かべて続けた。

「彼女とか、まだ居ないよな?もうちょっとだけ、オレだけのアルでいてくれよな?」
「 !」
「お前が彼女連れてきたら、オレみっともない程ヤキモチやくぞ!でもちゃんと祝福してやれるようになるから、それまでちょっと待ってくれよな!」
「 !」

花火の爆音が激しくなり、アルフォンスが叫ぶように言い募ってくるのでエドワードも負けじと大声を上げた。


「兄さんが大好きなんだよ!」
「愛してる愛してる!アルが好きだ!」



ふたりが向かい合ってそう叫んだ時、最後の花火が空で弾けて爆音が止んだ。

アルフォンスが叫んだ言葉がしっかり耳に入り、同時にエドワードが叫んだ告白もしっかり聴かれてしまった。

「……」
「………」

みるみる赤くなるアルフォンスの顔を見ながら、自分の顔もまた赤くなっていくのを感じる。

「か、帰る…か…」
「そ、そうだね、混む前に帰ろ…」

充分過ぎるほど暖まった体をギクシャクと動かし、ふたりは微妙に距離を置きながら車へと戻った。













帰り道、車のダッシュボードからアルフォンスが取り出した箱の中身を見て、エドワードは更に顔を赤らめて家へと戻った。

「今日、告白しようってずっと思ってた。もしオーケーだったら、って、これも用意して…」

無駄にならなくて良かったと照れたように笑うアルフォンスの横顔を盗み見て、エドワードはふたつ並んだ銀色のリングをそっと指先で撫でる。


クリスマス返上でバイトして買ったと云う指輪は、ずっと車内に置かれていたのにも関わらずほんのりと暖かく感じた。




end

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