※会話文
『カタクリさん』
「……」
『頬を、』
「頬を触らせてくださいな、か」
『あら、当たり! いいですか?』
「…構わん」
『ふふ、じゃあ、失礼して…』
「……」
『ほっぺ、すべすべですねえ』
「…よく飽きないな」
『嫌でした?』
「そう言うわけじゃない。ただ、理解はできかねる。おれの頬なんぞ撫でて楽しいか?」
『楽しいですよ。すべすべで、少しかたくて、温かくて、ずっと触れていたい』
「……」
『それに何より、こうして私が触れているときのカタクリさんのお顔がやさしくて、大好きなんです』
「…そうか」
『あ、照れてますね? ふふ、かわいいひと』
「おれをかわいいなんて言うのはおまえくらいだ」
『そんなことないと思いますよ。でも、そうですね、あなたのかわいいところを知っているのが私だけと言うのは、悪くない優越です』
「…敵わないな。その優越を感じるのは、おれに関することだけにしてくれ」
『もちろんですよ』
君には敵わない
← →
top